感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
59
初版は1975年。みなさんが思うように、この著書で書かれていることは、50年近くたっても何も変わっていない。私が社会人になった頃、男女雇用機会均等法が施行され、表面上は平等になったと言われていました。確かに時間の経過によって、女性への偏見は少なくなったようにも感じます。ただ、現実の社会は、闇のようにも思います。貧困や親の介護による影響。むしろ、ここに登場されている女性たちには確かな希望を持っているように感じられるだけ輝いて見える。2022/04/08
こばまり
59
いつか出会うはずだった相手を出会う前に戦場で殺されてしまい事実上結婚の自由を奪われた女性たち。公助の対象から漏れてしまった単身女性が如何に倹しく懸命に戦後を生きてきたかの記録。性差別や老後の不安等、なんと半世紀を経ても問題は現存している。2021/02/21
ステビア
29
戦争による女あまりによって「社会的寡婦」となった女性たちのライフヒストリー。この本の後どう生きたのかも非常に気になるところ。2023/12/04
小鈴
23
学生時代は戦争で動員、空襲、家族と死別、戦後は親達を養うために必至に働き、婚期を逃す。構造的には男は兵隊となり死んだため女余りの状況。敗戦から30年たち、彼女達は老後を見据えて不安を抱える。彼女達の姿を初めてマクロに調査したのが昭和47年の都民生局婦人部の独身中高年婦人調査で住民票から無作為抽出で100人に面接調査。著者達はその内の60人に更に細かく聞き取りする。存在するのに見えてこなかった彼女達を浮き彫りにした意義は大きい。戦争のもう一つの爪痕なのだ。皆が結婚した時代なんかほんの一瞬しかない。2020/01/06
アヴォカド
18
気が滅入った。この時代から40年以上が経ち、経済状況の変化や運動のおかげで、改善されたり獲得されたりしてきたことも少なくないなと実感するけれど、残念ながら変わっていない部分も多い。本質的なことはほとんど解決されていないのではないか。今や、独身であってもそうでなくても、若者も老年も、不安だし生活は脅かされるばかり。この時代と比べて生活が向上して幸福になったともあまり思えない。2021/05/22