出版社内容情報
「どんな事態に直面しても『それにもかかわらず!』と言い切る自信のある人間。そういう人間だけが政治への『天職』を持つ」。マックス・ヴェーバー(1864-1920)がドイツ敗戦直後、自らが没する前年に行った講演の記録。政治という営みの本質、政治家がそなえるべき資質や倫理について情熱を傾けて語る。(解説=佐々木毅)
内容説明
「どんな事態に直面しても「それにもかかわらず!」と言い切る自信のある人間。そういう人間だけが政治への「天職」を持つ」。マックス・ヴェーバー(1864‐1920)がドイツ敗戦直後、自らが没する前年に行った講演の記録。政治という営みの本質、政治家がそなえるべき資質や倫理について情熱を傾けて語る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
molysk
54
政治とは権力の追求であり、その背後には暴力が控えているが故に、政治家には特別な倫理が求められる。正しい行為を行い、結果は神にゆだねるのではなく、自らの行為の予見できる範囲での結果に責任を負わねばならない。政治家には、燃えるような情熱と併せて、責任ある行為のために冷静な判断力が求められるのである。自らが成し遂げようとすることが、たとえ結果が伴わずとも、現実から隔たっていたとしても、断じて挫けない人間。どんな事態に直面しても「それにもかかわらず!」と言い切る自信のある人間だけが、政治への「天職」を持つ。2021/06/04
ホシ
20
教育組織論の講義でマックス・ヴェーバーがよく取り上げられるので読みました。ヴェーバーといえば『プロ倫』ですが、本書は薄くて「少しは分かるかな」と思ったものの、やはり撃沈。難解でした。官僚制を説いたヴェーバー。おそらく官僚制には「魔物」が棲んでいて、政治に携わる者は「魔物」と対峙することを覚悟せよ、という内容だと思います。物事を効率的に進めることができる”官僚制”。しかし、そこには「規則だから」「慣例だから」「当たり前だから」という、人を思考の停止へと導く陥穽が常にあることを忘れてはなりません。2020/10/30
乙郎さん
6
難しかった…といってはいけない気がする。多くの政治家が影響を受けた著作として名を挙げているように、政治のあり方、政治自体が内包する権力の危うさ、それでもやっていこうという問いかけなど、この政情不安の時代ちゃんと受け止めないととは考えてしまうので。2024/01/21
Akiro OUED
5
権力に溺れたナルシスト政治家は、突然の精神崩壊に至る。コロナから逃避した安倍ね。心情倫理的政治家が千年王国的預言者に変身する、トランプのことか。市民の声を聞かず、「それにもかかわらず!」って言い切る人が天職の政治家ならば、岸田も立派なもんだ。ヴェーバーの結語、同意できない。2023/09/10
かみかみ
4
政治に携わる者、とりわけ議会制民主主義下における政治家に求められる能力や資質について碩学が説く。政治家には行為の純粋さである心情倫理よりも行為の成果に責任を負う責任倫理、そして堅固な岩盤を穿つような情熱と根気強さが求められる。『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』もそうだが、ヴェーバーの文章は用語は難しいが、論旨が明快なのでわかりやすい文章を書く際の参考になる。政治不信が募る今だからこそ心に留めておきたい本。2024/01/30