出版社内容情報
「人類は全体として何なのか?」 自然風土に基づき世界各地の民族と歴史を描き、その中心に人間性(フマニテート)の開花を見出そうとした本書は、文化の多様性を唱え、のちの歴史主義や和辻哲郎の風土論などに多大な影響を与えた。第1分冊(第1部)は、地球を概観し有機的生命の発展の中に人間を位置づける。(全5冊)
内容説明
「人類は全体として何なのか?」風土に基づいて世界各地の民族と歴史を描き、その中心に人間性(フマニテート)の開花を見出そうとした本書は、のちの歴史主義や和辻哲郎の風土論に影響を与えた。第一分冊は地球を概観し有機的生命の発展の中に人間を位置づける。
目次
第1巻(われわれの地球はいくつかの星々の中の一つの星である;われわれの地球は中位の惑星の一つである;われわれの地球は現在あるものになるまでに多種多様な変革を経てきた;われわれの地球は自転するとともに、太陽に対しては斜角の方向に動く球体である;われわれの地球は大気圏に覆われ、いくつかの天体との競合のうちにある;われわれの居住している惑星は水面上に隆起した大地山脈である;山脈の広がりによってわれわれの両半球は特殊このうえない差異と変化の舞台となった)
第2巻(われわれの地球という球体は、きわめて多様な存在物を有機組織化するための大きな作業場である;人間史との関係におけるわれわれの地球の植物界;人間史との関係における動物界;人間は地球の動物の中で中位の被造物である)
第3巻(人間の有機組織を考慮した植物と動物の構造比較;動物の中で活動する種々の有機的諸力の比較;いくつかの動物の生理学的構造の実例;動物の本能について;いくつもの観念の結と、感覚や身体部分の固有で、より自由な使用に向けての被造物のさらなる形成;動物と人間の有機組織上の差異)
第4巻(人間は理性可能態へと有機組織化されている;頭部が人間の頭部の形に近い低次の被造物を、人間の頭部の有機組織から再び見た場合;人間はより精緻な感覚に向けて、すなわち技術と言語に向けて有機組織化されている;人間はより精緻な本能、すなわち自由に向けて有機組織化されている;人間はきわめて繊細な健康に向けて、しかし同時にきわめて強い持続に向けて、すなわち全地球上に分布するように有機組織化されている;フマニテートと宗教に向けて人間は形成されている;人間は不死という希望に向けて形成されている)
第5巻(われわれの地球の被造物界においては一連の上昇する形と諸力が支配している;自然のどの力も器官なしに存在しない。しかし器官は力それ自体ではなく、力は器官を介して活動する;諸力と形のあらゆる連関は退行でも停滞でもなく、進展である;人間という有機組織の世界は、精神に関わる諸力の一体系である;われわれのフマニテートはたんなる予備活動、すなわち未来の花の蕾にすぎない;人間の現在の状態はおそらく二つの世界を結ぶ中間項である)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
加納恭史