岩波文庫
国語学原論〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 346p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003815014
  • NDC分類 810.1
  • Cコード C0181

内容説明

時枝誠記(一九〇〇‐一九六七)は、いわゆるソシュール的言語理論を批判し、「言語過程説」と名付けられた独自の言語観を提示した。「旧い国語研究の伝統」と「西洋言語学説の流れ」を見据え、国語学の新たな基礎づけを試みた。

目次

第1篇 総論(言語研究の態度;言語研究の対象;対象の把握と解釈作業;言語に対する主体的立場と観察的立場;言語の存在条件としての主体、場面及び素材 ほか)
第2篇 各論(音声論;文字論;文法論)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しゅん

16
聴覚映像と概念の統合を言語の基本単位とみなすソシュール言語学を、「言語は主観的表現に由来するものであり、固定的に捉えられるものではない」と批判し「言語過程観」を唱えた言語学の古典。専門的で深い知識を必要とする内容ながら、言語の存立条件を「主体、場面、素材」とみなす視点や、「三角形」と「三線よってに囲まれた図形」の違いを考察した論など、新鮮な刺激を与えてくれた。「ひのき」は単語として考えられているが、元は「火の木」であったものだから、単語という枠引きは時代によって変化するという説明なんかとても説得的。2017/07/04

へんかんへん

4
単純語、複合語、素材場面主体の三角2017/03/08

mstr_kk

4
こんな基本文献&名著も、恥ずかしながら初読。吉本隆明の『言語にとって美とはなにか』から三浦つとむの『日本語はどういう言語か』を経て遡ってきたが、これがいちばん読みやすく、古びていないというのは、驚くべきことでは。国語学というよりも言語をめぐる哲学だろう。自然科学的に、客観的な立場に立ったつもりで言語を研究すること、に対する批判なので、いわゆる言語学の枠組みから見ると無理があると思うが、非常に示唆的で、いろいろなことに応用したくなる。2013/06/02

feodor

4
6年くらいの積読から引き出した本。 言語研究への態度、というか方法論的なものが前半。言語研究において、客観だけでなく、主観の部分もあるのだ、というのは納得。後半各論もなかなか難しい。文字のあたりは、日本語はなるほど漢字が表意、かなが表音とも言えない部分はある、というのは納得。文法論のところで、いわゆる断定の助動詞の「なり」の活用と、「に・あり」の区別、というか動詞「あり」と補助動詞「あり」のあたりの区別についてくどくど言っている、「詞」と「辞」の区別のところが、いまとなっては逆に読んでいて面倒だった。2013/04/28

肉欲棒太郎

3
ソシュールの構成主義的言語学へのアンチテーゼとしての言語過程説。「主体性」でひたすら押していく感じが、個人的には宇野弘蔵を批判する黒田寛一を彷彿とさせる。なんとなく、時枝言語学は京都学派の三木清の哲学の影響下にあるのではないかと思ったけど、その辺のことについて既に指摘はあるのだろうか?2018/12/27

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