出版社内容情報
『倫理学』は、東京専門学校での講義録である。倫理学上の諸説を「直覚説」「形式説」「権力説」「自己快楽説」「公衆的快楽説」に分類して、常識的とされる身近な道徳観から出発して、東西の倫理学説史上の諸説を批判し、独自の理想主義的進化説に立つ倫理学を目指している。日本人による最初の倫理学概説である。『善の研究』構想中の西田幾多郎に大きな影響を与え、日本近代哲学の嚆矢となった。
内容説明
『倫理学』は東京専門学校での講義録である。倫理学上の諸説を「直覚説」「形式説」「権力説」「自己的快楽説」「公衆的快楽説」に分類。常識的で身近な道徳観から出発して、順次、東西の学説を吟味・批判し、理想主義的進化説ともいうべき独自の倫理学を構想した。西田幾多郎に大きな影響を与え、日本近代哲学の嚆矢となった。道徳に関する三つの講演を併せて収録。
目次
倫理学(倫理学の問題;行為の要素;直覚説;形式説;権力説;自己的快楽説;公衆的快楽説)
倫理学講演(古代希臘の道徳と基督教の道徳;希臘道徳移于基督教道徳之顛末;ストアの精神と武士の気風とを比較して我が国民の気質に論じ及ぶ)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
18
享年36歳(1900年没553頁)。倫理学は吾人の行為を研究する学科なり(19頁)。倫理学は吾人が行為の規範を究明することを以て其の本領となすべき(27頁)。経済学と倫理学ということの論に於いて相接する所あり(28頁~)。全く正しい。社会の進歩幸福と云い、人民の権利と云い、皆道徳的観念を離れては意味なきもの(30頁)。良心は各人自己の行為の道徳的価値を自識し従って己れをよしとし或はよからずとするの心を謂う(128頁)。 2014/12/25
シンドバッド
4
少し時間が掛かったが、3巻を読み終えた。大西祝という思想家の、一端と理論展開を知ることができた。講義録とはいえ、当時の学生のレベルの高さに、驚愕した。2014/08/12