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岩波文庫
娘巡礼記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 330p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003810613
  • NDC分類 915.6
  • Cコード C0126

出版社内容情報

大正7年,24歳の高群逸枝(1894―1964)は四国へ旅立った.家も職も恋も捨て,ただ再生を目指して.巡礼中の苦しみと悟り,社会のどん底に生きる遍路の姿を旅先から伝え,新聞連載中大評判をとった紀行文学の傑作.

内容説明

大正7年、24歳の高群逸枝(1894‐1964)は四国へ旅立つ。家を捨て、職を捨て、恋を捨て、ただ再生を目指して。女性の旅行が好奇の目で見られた時代、旅先から書き送られたその手記は新聞に連載されて大評判を呼ぶ。八十八ケ所巡礼中の苦しみと悟り、社会のどん底に生きる遍路の姿、各地の風物をいきいきと伝える紀行文学の傑作。

目次

出立(巡礼前記;大津より;大津から立野へ ほか)
いよいよ四国へ(八幡浜へ;月夜の野宿;明石寺へ ほか)
瀬戸内のみち(始めて瀬戸内海に;屋島見ゆ;八栗屋島 ほか)

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

つちのこ

39
才気溢れる瑞々しい文章に唸った。真っ直ぐに物を見る目と、その裏側を射抜くような感性は持って生まれた力だろうか。寂れた遍路宿の垢が浮いた風呂におののき、汚い柄杓で盛った飯に手を付けることもできぬお嬢様であり、“情け美わしく濃まやかにしかも高らかなる気品ある夫人こそ私の理想であり情景である”と書く。世間から疎まれ、忌み嫌われた遍路に飛び込んだ初々しい24才の女性が、その体験を通して、後に女性解放の旗手として活躍していく片鱗を十分に感じ取ることができた。それにしても当時の遍路事情は凄まじい。⇒ 2023/07/24

ネギっ子gen

33
2004年に、確か『図書』の告知で知り、著者はこんな本も書いているのか、と即購入。24歳の時に熊本を出て、半年間の四国遍路の手記だが、今回再読して想うのは、著者の才気活発さ。遍路は無銭旅行だが、豊予海峡を渡る船賃は、『九州日日新聞』に巡礼記を書くと約して拝借した10円を充てるなど、しっかりしている。その上、その巡礼記が評判を呼ぶのだから、お見事!「チト心配ではあるが笠だの杖だの面白そうだ。うっとりしていると/ああこの杖をついて、と思うと訳もなく顔が赫らむ」なんぞ、現在にも通じる感性ですよね。遍路には必携!2019/09/08

ムーミン2号

10
1918年=大正7年に敢行された当時24歳の高群逸枝さんの四国八十八箇所巡礼の旅を記した書であるが、元は当時の熊本日日新聞に105回に亘って連載された紀行文である。当時の巡礼行は、舗装されていない道路のみならず山へ川へ海岸へと分け入りながらの旅であり、かつ時には野宿も強いられる厳しいものである。時どきの巡礼行ばかりでなく、故郷と郷里の家族への思慕、または自身を叱咤激励しつつ重ねる思考、他の巡礼者や在地の人たちの様子などが描かれている。著者の高い教養、峻厳な文章にも圧倒される。2020/01/26

rigmarole

10
印象度B。冷淡な眼で見ると、インテリ娘が勝手に巡礼して辛い目に遭って感傷的になっているだけだとも言えるでしょう。どこまで本人の意識にあるのか、自己陶酔と衒学が至る所に見られます。また口語体になってみたり漢文調になってみたり、札所や行程についての記述は18番から後は相当にすっぽかしていたりと、文体や内容にムラがあるところにも若さを感じます。未熟な作品なので夫が出版を断念したいうのも理解できます。しかし著者への関心が高まったのは事実。また地元の人々やお遍路さんの風俗や信仰心についての描写を興味深く読めました。2018/11/18

hiroizm

9
後に女性史研究家となった著者の、大正7年の四国八十八カ所遍路巡礼記。この時著者は24歳なのだが、道中あちこちでいけすかない男達にナンパされたりからかわれたり、読んでいていささか気の毒になった。今と比べて当時の遍路さんに対する評価が、差別的といえるぐらい低いことにも驚く。著者のタフさ、誠実な文章にも心打たれる。大正期の女性像を知るにはうってつけかもしれない。2018/07/17

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