出版社内容情報
インディオたちの生活の美しさと秘められた知恵、そして深遠な宇宙観――。若き日のル・クレジオにまったく新しい宇宙と生き方を開示した、パナマのエンベラ族との出会いを語る表題作をはじめ、著者が一貫して熱情にみちた関心をそそぐ、南北両アメリカ先住民世界をめぐる、しずかな抒情と宇宙論的ひろがりをたたえた民族誌。
内容説明
攻撃ではなく優しさ、叫びや饒舌ではなく沈黙、征服ではなく融合―。南北両アメリカに生きる先住民たちの生活の美しさと秘められた知恵、そして深遠な宇宙観を、みずみずしくかつ硬質な文体で描く、しずかな抒情と宇宙論的ひろがりをたたえた民族誌。
目次
歌の祭り
インディオの書三つ
ミチョアカン、神々の征服
祭りから戦へ
先住アメリカの黄金の夢
チチメカ人
インディヘニスモと革命
アメリカ先住民神話と文学
豊饒の角
タレクアトのハコボ・ダシアーノ
メキシコ、三つの礼讃
鳥の人々
ジビルノカク、夜の書
先住民の声―リゴベルタ・メンチュー
すべては結ばれている
大洪水に抗して踊る
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
65
前半は神話の話だが、後半になると、インディオたちの苦渋の歴史が語られる。「インディオたちの生活の美しさと秘められた知恵、そして深遠な宇宙観。神と人が渾然一体となった夢幻的な「創世神話」。」 というが、そうした世界観は凄惨な歴史の果ての知恵というべきか。 本書を読んでて付箋だらけとなった。転記したい文章が多すぎる。ここでは、一つだけ。土地を奪われ当てのない流浪を迫られ、コマンチ族の首長らがテキサス州知事へ宛ての訴え: 2025/09/07
藤月はな(灯れ松明の火)
51
南北アメリカの先住民の歴史と息づく伝統や文化。とても好奇心がそそられる民族誌だ。まず、冒頭の「歌の祭り」にて呪術師のメニオが死に向かう女性へ歌い続ける場面からして死への真摯な向き合いと旅だって行く女性への優しさも感じる。このような荒々しくも豊穣な文明も絶滅の機会があった。それは神々の降臨として間違われた為に侵略を許してしまった西欧からの入植者がきたからだ。しかし、焚書されたりしたものの逆に入植者が齎した文字によって失われるはずだった文化が存続したという歴史上の皮肉も印象深い。2025/08/31
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