内容説明
総督としてアフリカを守るプルエーズの元へ、新大陸副王の地位を抛ちロドリッグは駆けつける。だが既に自己犠牲を決意した彼女は、自ら守る砦での爆死を選ぶのだった…。「自由詩型による戯曲」という舞台言語を創造したクローデル畢生の大作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みつ
16
作者ポール・クローデルはいくつかの国で外交官を務めており、本作の完成時は数年にわたる駐日大使の頃。それもあってか女からの恋文は右大将道綱母の古歌を本歌取りにするなど、物語が重層になっていく分魅力を増すが、わかりにくさは相変わらず。二人が遂に出会う場面が最たるものだが、男は脚を失いやがてメキシコ征服に向かうこと、女の死をめぐるいきさつなど、物語は大きく動いているはずなのに、像を結ばない。「第4日」に至ってファルスの色彩が一挙に強まり、男と娘のやりとりもこれまでの演劇世界の外から相対化されつつ不思議な結末へ。2023/05/28
ラウリスタ~
5
4夜のうちの後半。3夜はクライマックスで、4夜目は後日譚。ただその4夜目が実はいままでの展開をもう一度換骨奪胎し、語り直している。もやもやしたうちに読み進めた前半3夜を4夜目で収斂し、まさに劇的な結末へと至る。難しい作品だとは思う。ただそれを語る劇としては非常にふざけた作品。まじめさを徹底的に排除し、常に「これはただの作り物、劇なんだよ」とささやきかける舞台。そのあたりが一番の見どころか。軽佻浮薄なテーマを重々しく演じる劇が最低だとすると、重厚なテーマを軽々しく演じるこれは最高になる。2011/05/28
Hotspur
2
訳者には恐縮しながら台詞の流れを削がないように注を無視して読んだが、あとがきで訳者渡辺守章氏が「できればまず本文をお読みいただき、訳注はあとで」と書かれており、妙に安心する。従って、テクストの重層性など、読み込めていない割合が多いと思うが、それでも面白い。「四日目」など、ラブレーのように逸脱が本線になっている。いずれまた再読するであろう本がまた一冊。2018/04/22
hryk
2
本文と訳注を往復させながら読んで、これは読み解くためには著者の知的履歴をすべてフォローしなきゃいけないタイプの作品なのだなと実感した。京都の公演のチケット取ってしまった。2016/11/11
梅しそ
1
オリヴェイラの大作のために。時間がなかったので膨大な訳注無視で本編のみ。2020/11/25