出版社内容情報
芥川が選んだ「新らしい英米の文芸」は、まさに当時の「世界文学」最前線であった。旧制高校の英語副読本として編まれたアンソロジー八巻より、二二の短篇・エッセイを精選。ポーやビアス、スティーヴンソンから初邦訳の作家まで、芥川自身の作品にもつながる〈怪異・幻想〉の世界を、豪華訳者陣による翻訳で堪能する。
内容説明
芥川が選んだ「新らしい英米の文芸」は、まさに当時の〈世界文学〉最前線であった。旧制高校の英語副読本として編まれたアンソロジーより、二十二の短篇・エッセイを精選。芥川自身の作品にもつながる〈怪異・幻想〉の世界が、十二名の豪華訳者陣により蘇る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
108
最近、岩波文庫はこのような少し毛色の変わった作品集を出してくれるようになって愉しんでします(英国の推理小説など)。旧制高校の英語のサイドリーダー用の本の中から芥川龍之介が選んだ短編を現代の訳者たちが訳していてよみやすさがあります。ただ表題が怪異・幻想譚という割には少ないような気がしました。初訳の作品も多いというのですが、私には従来から読んでいるM・R・ジェイムズやアルジャーノン・ブラックウッドの作品などが楽しめました。2025/05/22
藤月はな(灯れ松明の火)
45
アンソロジーが文庫化した事に嬉しさと「もう少し、早く、本書を読んでいたら・・・」という後悔も入り混じった、複雑な気持ちを味わう。読んでみたら芥川龍之介氏の怪奇・幻想小説のセンスの良さや先進性に驚くばかり。この人が編纂した英米文学集、是非とも全巻、読みたいな・・・。悪党の義侠心による善行が光る「追い剥ぎ」、善悪のせめぎ合いの「マークハイム」、「藪の中」に影響を与えたとされる「月明かりの道」、紳士的な解決が見事な「張りあう幽霊」、批評家の罵詈雑言とその批判先となった作品の後の評価の落差に苦笑いせざるを得ない2025/06/08
ふるい
13
2週間ほどかけて読了。およそ100年前に芥川龍之介が編んだ旧制高校生向けアンソロジーである。今となっては古典の部類となる作品も多いが、現代の読者も十分に楽しめるあたらしさ(!)のある英米の短篇を味わうことができる。特に「ショーニーン」などアイルランド系作家の作品が面白かった。2025/05/07
春ドーナツ
13
ISBN番号を入力することで、やっと本書の単行本版が出てきた。発売日は2018年11月22日。私が読んだのは2019年6月18日。図書館で借りたなと思う。インターネット予約ではなく、書棚で見つけたかと思う。この半年のずれがどういう経緯で本書を読むことになったか、謎を深めている。新刊は毎日「WEB本の雑誌」の新刊案内でチェックしている。当時は図書館の蔵書に加わるのを待っていたのか。このうっすらとした既視感。どの作品も全く記憶にない。ある戯曲を読むまでは。そしてなぜこの戯曲の記憶がよみがえったのかわからない。2025/05/02
ふみふみ
12
芥川龍之介の英米文学アンソロジーから編者が二十二の短篇をセレクト。Oヘンリーやサキは今では有名すぎるから外れたのかな。怪異・幻想譚 の看板にはちょっと違和感ありますね、そういう内容ばかりではないので。鉄板だと思ったのはワイルド、ダンセイニ興、M.R.ジェイムス、オサリヴァンですが、意外だったのはトリの芥川「馬の脚」。スラップスティックの傑作で、これが一番破壊力が強く、本書の印象を全部持って行った感があります。2025/05/17