出版社内容情報
芥川が選んだ「新らしい英米の文芸」は、まさに当時の「世界文学」最前線であった。旧制高校の英語副読本として編まれたアンソロジー八巻より、二二の短篇・エッセイを精選。ポーやビアス、スティーヴンソンから初邦訳の作家まで、芥川自身の作品にもつながる〈怪異・幻想〉の世界を、豪華訳者陣による翻訳で堪能する。
内容説明
芥川が選んだ「新らしい英米の文芸」は、まさに当時の〈世界文学〉最前線であった。旧制高校の英語副読本として編まれたアンソロジーより、二十二の短篇・エッセイを精選。芥川自身の作品にもつながる〈怪異・幻想〉の世界が、十二名の豪華訳者陣により蘇る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
春ドーナツ
10
ISBN番号を入力することで、やっと本書の単行本版が出てきた。発売日は2018年11月22日。私が読んだのは2019年6月18日。図書館で借りたなと思う。インターネット予約ではなく、書棚で見つけたかと思う。この半年のずれがどういう経緯で本書を読むことになったか、謎を深めている。新刊は毎日「WEB本の雑誌」の新刊案内でチェックしている。当時は図書館の蔵書に加わるのを待っていたのか。このうっすらとした既視感。どの作品も全く記憶にない。ある戯曲を読むまでは。そしてなぜこの戯曲の記憶がよみがえったのかわからない。2025/05/02
tekka
1
読み終えず放置したままだったが、遂に読了。この手のアンソロジーは初邦訳作品が微妙なことが多いが、流石は芥川のチョイスから更に厳選したとあってどれも一級品。ユーモラスな味わいの「張りあう幽霊」地味で短いが緊張感が漂う「隔たり」全ての贅肉をそぎ落とした「大都会で」オチの不穏さが堪えられない「残り一周」そして一番の掘り出し物「ウィチ通りはどこにあった」は可笑しみと不気味さが入り混じっていて久々に震えた。2025/05/02
迦陵頻之急
1
芥川龍之介が旧制高校向けの英語リーダーとして編集した英米短編のアンソロジーから、特に奇譚趣味の濃いものを纏めた一冊。有名無名作家の作品をひたすら編者芥川の趣味で選び出した点、ちょっと鴎外の「諸国物語」を思わせる一方、作品の傾向については、本書の後書きでボルヘスの「バベルの図書館」との類似性が言及されている。代表作には大抵種本が存在する芥川だが、本書にも芥川文学の楽屋裏がちらちらと伺える。怪異幻想と謳っているが、徹底したナンセンスやハードボイルドまで、振り幅は広い。2025/04/22