岩波文庫
大使たち〈上〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 458p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003725115
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

『大使たち』は、『鳩の翼』『金色の盃』と共にヘンリー・ジェイムズ(一八四三‐一九一六)の後期三大長篇を成す。人生を生き損なったと感じている五十五歳のアメリカ人ストレザーは、ある“使命”をおびてパリに赴くが…。一九〇三年刊。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

352
小説が書かれたのは20世紀のごく初め。初出は雑誌への連載であったらしい。時代を考えれば主人公ストレザーの一人称語りであってもよさそうなものだが、ここでは絶対的な視点に立つ語り手がすべてを支配する。いわばあえて古いスタイルを採っている。そして、それを進行させて行く役割を担うのがゴストリー嬢である。また、元々マサチューセッツにいた頃は同じ価値観を抱いていたはずのストレザーとウェイマーシュとが対比的に語られる点も単純な構図である。私のイメージするヘンリー・ジェイムズからすれば、違和感を持つほどに平明である。2021/08/12

ケイ

123
ストレザーと友人、ゴストリー嬢との3人の関係にとらわれていたら、そこは話の中心ではなかった。ゴストリー嬢は中心ですらなく、中心はチャド母息子。読んでいるうちに全体像を見させていく作品の構成に驚くが、その素晴らしい構成に胡座をかいておらず、その巧みさが作品に読者を入り込ませる。そして、決して読みにくくはない。登場人物も極めて少ないので戸惑うこともない。少しずつ驚くことを楽しみながらの読書。2016/12/11

まふ

91
ヘンリー・ジェイムズらしい心理描写たっぷりの作品。パリに行ったきりの息子をアメリカに戻ってくるよう富豪夫人から依頼を受けてパリに乗り込む、主人公のストレイザー、という設定自体が、尋常ではない「小説の作り」を読み手に印象付ける。いかにもヘンリー・ジェイムズ的だ。旅で出会ったゴストリー嬢というキャラクターが私自身としては気に入った。なんという知的で魅力的な女性だろうか。本人はパリに乗りこんで息子と語り合ううちに、パリそのものを愛するその立派な心掛けに納得し、アメリカへの帰還という説得を放棄してしまう。⇒2025/10/06

NAO

53
恋人の息子である金持ちの御曹司を帰国させるという使命を帯びてアメリカからパリへやってきたストレザーが、ヨーロッパに来た途端、羽根を伸ばすかのようにヨーロッパに魅せられていく。ストレザーがこんなにも簡単に使命を忘れ自分の位置を見失ってしまうのは、彼がちゃんとした自分を持っていないからではないのだろうか。この彼のふわふわしたいい加減さはきっと後でひどいしっぺ返しを受けるに違いないと予想されるのに、全くそれを感じていないストレザーの能天気さに少しイライラさせられる。2017/03/13

syaori

49
ストレザーは55歳の米国紳士。物語は彼が「ヨーロッパ」に降り立つ所から始まります。彼が、ゴストリー嬢を案内役に、「洗練」された見方を身につけてゆくのを見るのは何と心躍ることでしょう。彼の訪欧にはある使命があり、それが彼をさらに「素晴らしい」人々へ導くことに。長い伝統に磨かれた気高い貴婦人と趣味の良い優雅な恋人、彼らの「選りすぐり」の交際。そんな彼らにも「いろんな問題がある」ことが示唆されますが、でも本巻の印象は次の会話に集約されるように思います。「パリ暮らしの魅力を楽しんでいらっしゃる?」―「思い切り」!2019/07/12

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/8961
  • ご注意事項

最近チェックした商品