出版社内容情報
両親と死別して孤児になったピップは、姉とその夫・鍛冶屋のジョーと暮らしていた。ある日。墓地で脱走囚と出会い頼まれた食料を家から持ちだした。成長して鍛冶屋修業を始めたピップに、匿名の人物から巨額の遺産が贈られるという知らせが届き、紳士修業のためロンドンに旅立つ。晩年の代表作。アメリカ版の挿絵を収録。(全2冊)
内容説明
両親と死別して孤児になったピップは、姉とその夫ジョーと暮らしていた。ジョーのもとで鍛冶屋の修業を始めたピップに、匿名の人物から巨額の遺産が贈られるという知らせが届き、紳士修業のためにロンドンに旅立つ。晩年の代表作。アメリカ版の挿絵を収録。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
134
石塚裕子さんの訳で再読。ジョーが本当にいい人で、こんな大人がそばに一人いてくれたら、あとは全て相殺にしてもいいんじゃないかと思う。すべての子供にジョーがいたらいいのに。以前に読んだ時には気の毒に思えたミスハビシャムの歪んだ心が、それがエステルに及ぼす影響に嫌悪感を覚えた。そして、ジャガール法律事務所のウェミックさんにも心が揺さぶられた。こういう人達、それぞれについて、あなたはどう判断しますか?と、ディケンズに問いかけられているように思う。訳は隅々まで工夫されているような印象。読みやすく、楽しい。2020/09/05
Willie the Wildcat
64
愛情の天秤。欲の有無が、”錘”となり言動にブレ。ジョーとビディの不変の姿勢に対するピップの心情描写と変化は、人生を学ぶ課程とも言える。ビディの諭しに気づけない盲目のピップが象徴。脱獄囚人の変化の成り行きも今後の見所。一方、ミス・ハヴィシャムの不変は、他者の人生の操作。意味深な言動には、過去への報復の念か。暗澹たる気分。但し、サチス荘、破れた心臓など、婦人の心の痛みの理解がカギという気もする。喧嘩を仕掛けたハーバートや、家政婦モリーの存在も気になるところ。因みに、タール水の迷信は知らなかった。2016/03/19
syaori
60
両親と死別し、姉夫婦に養育されるピップ少年が主人公。義兄の徒弟になって鍛冶屋となる運命の彼の野望は、「ジェントルマン」になること。現在より階級が厳然としていた時代。労働者がジェントルマンになるなんて夢のまた夢。なすすべもなく鍛冶屋への道を歩んでいた彼ですが、突然「莫大な遺産相続」の話が舞い込んでジェントルマンへの道が開けることに。夢と現実、かつての境遇と前途の間に葛藤を抱えつつ進む彼から目が離せません。また彼に遺産を贈与してくれる恩人とは誰なのか。周りを固める一癖も二癖もある人々にも目を奪われつつ次巻へ。2020/01/28
syota
29
作者晩年の作品。以前読んだ「オリバー・ツイスト」のような勧善懲悪劇ではなく、むしろ主人公ピップの成長物語。純粋だったピップが金持ちの相続人になり、次第に天狗になっていくのは悲しいけれど、それが人間の弱さなのだろう。周りを固める脇役も、ジョーやビディのような善人から「姉ちゃん」のように敵役といっていいのか判断に迷う人、ミス・ハヴィシャムやエステラのように善悪の物差しが当てはまらない人まで多彩。伏線と思われる箇所も多く、下巻はどうみても大波乱がありそう。一気に読ませる筆力はさすがディケンズだ。[G1000]2016/03/27
fseigojp
25
労働者階級として生きるのが苦痛な少年に謎の遺産相続資格が舞い込み、ロンドン郊外の低湿地からロンドンへ移り紳士の教育を受けるまで。。。19世紀のロンドン庶民の哀歓が活写されているとのキャッチコピーで読みだした ノルウェー・ブッククラブの100冊の一つ2016/04/24
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