出版社内容情報
准男爵夫人の姿に衝撃を受けるエスター。進展のない裁判に期待する若者。身元不明の代書人の死にまつわる捜査。不穏な動きが広がる。(全四冊)
内容説明
「なにかがわたしのなかで息づきはじめました」―荒涼館の一員となったエスターは、教会で見た准男爵夫人の姿になぜか深い衝撃を受ける。ロンドンでは、リチャードが終わりの見えない裁判に期待を寄せ、身元不明の代書人の死にまつわる捜査も広がりを見せる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
332
★★★★☆ 2巻に入って、人間模様もはっきりしてきて俄然面白くなってきた。エスターとレディー・デッドロック、エイダとリチャード、キャディーとプリンスのそれぞれの未来に加えて、ジャーンダイス訴訟の結末、代筆家の死の真相など、後半に向けて楽しみである。 特にリチャードがどんどん悪い方向に向かっていて心配である。2025/03/26
やいっち
82
いよいよというか、ようやくというか、本巻に至ってストーリーが動き出してきた。現代の作家なら、半分ほどにまとめるかも。冗長? じゃなく、ディケンズ節炸裂。全体の中でこの場面はどう位置付けられるのか見えなくていらいらすることも。が、そもそも人生なんて、先が見えないだけじゃなく、今という今が不透明で不安だったりするもの。ディケンズの技量に任せ、場面ごとの叙述を楽しめばいい。ゴーゴリやゴンチャロフらを彷彿させる(どちかがどちらに影響したというのではない)諧謔味のある滑稽な表現が卓抜。2020/02/26
momogaga
50
謎が少しずつ解かれて来ています。娯楽小説なんですが、社会性も含んでおり、19世紀の英国の歴史を学び直すきっかけにもなりました。後半も楽しみます。2023/05/12
道楽モン
38
物語が動き出せば、あとはディケンズに身を委ねるのみ。初版は連載モノだったということで、当時のロンドンでの紳士淑女同様に次なる展開にワクワクし、多数の登場人物によって織りなす人間関係の謎がひとつずつ解き明かされてゆく様を愉しむのだ。主人公エスターの出生の秘密のヒントが提示され、巻末では流行病に倒れる。遺産相続予定のリチャードは、まったくのダメ人間であることが露呈する。裁判をとりまく周囲の人々は、自然発火による孤独死など次々に死んでゆく。エスターに懸想するガッピーや、篤志家のジャーンダイスなどキャラ濃いな。2024/02/18
みつ
30
冒頭、登場人物表と地図に加えて前巻のあらすじが掲載されている。複雑を極めた物語の読み手としてはありがたい。非常に大勢の登場人物はさらにその特徴を明らかにし「子供」スキンポールやリチャードの救い難さも一層印象的に。チャドバンドのようないかにも怪しげな人物も登場する。エスターの語る物語では、キャディーの結婚の祝福や新しいメイドであるチャーリーとの交流など、一服の清涼剤の趣き。病をうつされたエスターの今後が心配。一方ガッピーがもたらした情報がレディー・レッドロックに与えた衝撃(p412)も次巻への期待を増す。2023/12/21
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