内容説明
14世紀イタリアの詩人ペトラルカの影響は16世紀にはヨーロッパ各地に広がった。ペトラルカを意識しつつ、英国ルネサンス期の詩人たちは影響を与え合い、互いに相似し相違するそれぞれのソネットを作った。ワイアット、シドニー、ダニエル、スペンサー、シェイクスピア、メアリ・ロウスなど9人の恋愛ソネットから精選し、その特徴と展開を概観する。
目次
トマス・ワイアット『トテル詩選集』より
サリー伯ヘンリー・ハワード『トテル詩選集』より
フィリップ・シドニー『アストロフェルとステラ』より
サミュエル・ダニエル『ディーリア』より
ヘンリー・コンスタブル『ダイアナ』より
マイケル・ドレイトン『イデア』より
エドマンド・スペンサー『アモレッティ』より
ウィリアム・シェイクスピア『ソネット集』より
メアリ・ロウス『パンフィリアからアンフィランサスへ』より
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅてふぁん
35
再読。ここ最近は和歌と漢詩ばかりだったので、久しぶりに西洋の詩を読んでみた。詩に詠まれている心はさほど変わらないのに、表現方法や言葉選び、もう何もかもが違っていて面白い。(国も時代も宗教も違うので当たり前だけど。) 前回読んだ時には‘次は原文で’と思っていたのにまだ読めていないので、今度こそ対訳本を読む~(^o^)丿2018/06/02
しゅてふぁん
31
英国ルネサンス期の九人の詩人のソネット作品集。ソネットは以前から気になっていたけれど、読むのは初めて。まずは作品を読んだことがあるシェイクスピアから読んでみたら、十四行の中にたくさんの愛が詰め込まれていて圧倒された。こういった詩集は何度も何度も繰り返し読んで楽しむものなんだろうな。シェイクスピアはもちろん、メアリ・ロウス、ヘンリー・コンスタブルやエドマンド・スペンサーもよかった。次は原文の記載がある本を読んで、韻を踏んでいるのを味わってみよう♪2017/11/02
壱萬参仟縁
23
ワイヤット21で、ぼくの幸運は、いつだっておいそれとは来てくれない。欲望は高まるばかりで、望みは叶いそうにもない(26頁)。定職、学位、結婚。いずれも厳しい年齢となった。シドニー1で、真実、心から愛している、(略)読んで知るようになり、知って憐れを感じ、憐れが好意に転ずる。シドニー5で、真実のところ、徳こそが真の美であり、この世の美は、真の美である徳の影にすぎず(云々、46頁)。シドニー24で、この世には金持ち馬鹿がいる。2014/12/23
松本直哉
21
恋人を夏の日に喩えるシェイクスピアのソネットの4行目、summer's leaseを夏の返済期限という訳に目からうろこが落ちる。恋愛詩には場違いな経済の用語で、ペトラルカ風の理想主義を汚穢の現実の地平に引きずり下ろす。ペトラルカがフランスと英国に伝播するにつれて脱神話化される過程を丁寧にたどった解説がとても勉強になった。シェイクスピアというまぶしすぎる光源に隠れている有名無名のルネサンス詩人たち、それぞれに個性があり面白い。初めて知った詩人も。日本語訳は正確と優雅の均衡がとれて読みやすい。2015/01/23
双海(ふたみ)
13
14世紀の詩人ペトラルカの影響は16世紀にはヨーロッパ各地に広がった。ペトラルカを強く意識しつつ英国ルネサンス期の詩人たちは影響を与え合い、互いに相似し相違するそれぞれのソネットを作った。ワイアット、シドニー、スペンサー、シェイクスピア、メアリ・ロウスなど9人の恋愛ソネットを選び、その特徴と展開を概観する。 (カバーより)2014/05/13