内容説明
中国詩の絶頂、煌めく個性を生んだ唐代―月下に酒杯を傾ける李白、世を憂えさすらう杜甫、幽邃の境地に遊ぶ王維。あるいは花の長安に集い、春の江南を旅する詩人たち。雄々しい精神と洗練された筆で、国家の興亡から庶民の哀歓までをうたう数多の詩。その核心を読み解く。
目次
初唐(野望―野望(王績)
長安古意―長安古意(盧照鄰)
于易水送人―易水に于て人を送る(駱賓王) ほか)
盛唐(題袁氏別業―袁氏の別業に題す(賀知章)
回郷偶書―郷に回りて偶たま書す(賀知章)
蜀道後期―蜀道にて期に後る(張説) ほか)
中唐1(送靈〓(てつ)上人―霊〓(てつ)上人を送る(劉長卿)
重送裴郎中貶吉州―重ねて裴郎中の吉州に貶せらるるを送る(劉長卿)
逢雪宿芙蓉山主人―雪に逢い芙蓉山の主人に宿る(劉長卿) ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
55
唐代から絶句・律詩などの詩の形式が立脚されていく。そして社会批判や皮肉も多くなっていくのが、権力争いや内憂外患による戦乱で風の中の木の葉のように翻弄される文化人の悲哀と怨嗟を現在にも伝えている。その中、中学の教科書で初めて触れた漢詩である、杜甫の「春望」と孟浩然の「春暁」に再会できて懐かしさ一入である。また、数多くの歌手に現在も歌われる李白の「将進酒」について中国語(胡夏・李玉剛のメロディー)で口ずさんでしまうのです。そして歯抜けの老いを強がって笑い飛ばす韓愈と「登科後」と「寒渓」の落差が凄まじ過ぎる孟郊2024/12/14
しゅてふぁん
47
この巻は初唐から盛唐、中唐の半ば頃まで。メインは李白と杜甫。個人的には孟浩然や王昌齢も好き。読んでいると日本の和歌に使われている言葉や古典に出てくる行事によく出会って、中国から色々と伝わったというのが解って面白い。他国の古典をまるで自国の古典のように読めるって凄いなぁと訓読みを開発した古の人々に感謝しながら読む。日本の和歌や古典では‘帝’は歌人(宮廷人)から比較的近しいイメージがあるけれど、中国の漢詩に詠まれている‘帝’はとても遠い存在に感じる。実際にとても遠い存在だったんだろうな。2019/06/14
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
14
絵本『よあけ』https://bookmeter.com/books/552407 は収録された柳宗元の「漁翁」という詩をもとになっているそうです。2022/03/19
吟遊
12
中巻は盛唐〜中唐を扱う。李白がまとまった割合を占め、なにより杜甫の割合がとても大きい。上巻と同じく、原詩、読み下し、注釈、解釈、+あれば、コラム。の構成。とにかく素晴らしくできた本で、半年で重刷が6回かかっている。2017/02/19
tharaud
4
ちょうどよい漢詩のアンソロジー。上中下、就寝前に少しずつ読むのによい。2025/02/22
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