出版社内容情報
人類の一面は確かに動物的たるをまぬがれざるなり――外遊前の荷風が、道徳や正義を掲げつつも情欲や権力欲に揺れる人間の本性と社会の裏面を描き出す。初対面の森鴎外から「地獄の花はすでに読みたり」と励まされ、創作欲を高めた荷風の出世作。同時期に執筆された鮮やかな短篇「闇の叫び」も併収。解説=中島国彦
【目次】
闇の叫び
地獄の花
解 説――『地獄の花』成立の背景……………(中島国彦)
内容説明
人類の一面は確かに動物的たるをまぬがれざるなり―外遊前の荷風が、道徳や正義を掲げつつも情欲や権力欲に揺れる人間の本性と社会の裏面を描き出す。初対面の森鷗外から「地獄の花はすでに読みたり」と励まされ、創作欲を高めた荷風の出世作。同時期に執筆された鮮やかな短篇「闇の叫び」も併収。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
42
本書は永井荷風氏による、社会的正義を掲げる偽善者の欺瞞とその犠牲になる弱者に焦点を充てた痛烈な社会批判である。その最たるものが、女工一家が正義を掲げるがフォローはしない新聞社によって更なる苦界へと貶められる「闇の叫び」であろう。一方、表題作の弱者を助けたいという理想を掲げる園子の根底にあるのは虚栄心でしかないし、思慕を寄せる笹村が元水商売の女を囲ったという事実に軽蔑するなど、己の中にある偏見から逃れる事が出来ない。しかし、酔った校長に身を汚され、救おうとしていた一家が苦境に立たされた際、彼女は真の意味で2026/07/05
ゆーじ
6
再読、実にいい作品です。相性抜群な作家です。ありがとう。孫にも薦めたい一冊です。2026/06/17
zunzun
4
読了。闇の叫びも表題の地獄の花もどちらもおもしろい。前者は毛織物工場で働く貧家の娘が工場主と関係をもち便益を得るも、懐妊してしまい、新聞記者の正義に同意なれど暴露され、破滅する作。後者は男からもてあそばれ、操を奪われ、零落する女の困難と徳を自身で作り上げる人生観を得て終わる。2026/05/29
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