出版社内容情報
「日本は無条件降伏をした。私はただ、恥ずかしかった」――表題作ほか、「故郷」「散華」「竹青」「十五年間」など、第二次大戦敗戦前後の昭和17(1942)-21年に発表された14篇。未曽有の混乱期に、そして訪れた〈新時代〉に、忠実に生きようとした作家の姿が浮かび上がる。(注=斎藤理生、解説=安藤宏)
内容説明
「日本は無条件降伏をした。私はただ、恥ずかしかった」(「苦悩の年鑑」)―表題作ほか、「故郷」「散華」「竹青」「十五年間」など、第二次大戦敗戦前後の昭和17‐21(1942‐46)年に発表された14篇。未曽有の混乱期に、そして訪れた“新時代”に、忠実に生きようとした作家の姿が浮かび上がる。
目次
十二月八日
水仙
待つ
花火
故郷
帰去来
作家の手帖
散華
雪の夜の話
竹青
庭
貨幣
十五年間
苦悩の年鑑
1 ~ 1件/全1件
- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まどの一哉
4
14編のうち「水仙」「花火」は既読であったが、この2作は破滅型の人間を描いて鬼気迫る秀逸の出来栄え。さすがに太宰だ。自分を天才画家と思い込み、夫を捨てて虚飾に溺れる女性。コンプレックスの塊でいい金づるにされて家計を破壊する長男。私小説でない作品の面白さは群を抜く。2025/04/11
うさえ
1
戦中から戦後にかけての太宰治短編集。「走れメロス」か「人間失格」しか読んだことのない人にも、コアな太宰ファンにも、楽しめる一冊だと思う。「花火」は何度か読んでいるのだが、いつも最後のセリフを忘れていて、ハッとさせられる。驚いたり、納得したり、切なくなったり、それぞれの感想を大事にしながら、太宰文学を次代に送り届けて行きましょう。2025/04/27