出版社内容情報
今やかの三つのベースに人満ちてそぞろに胸のうちさわぐかな。正岡子規、幼名升(のぼる)。転じて、野球(のぼーる)とも号す。無類のベースボール好きであった子規は、アメリカより伝来して間もないその球技の愉しさを、折りにふれ句や歌に詠み、随筆につづった。仲間と一心に白球を追う、明るく元気な子規の姿が目に浮かんでくる。
内容説明
“今やかの三つのベースに人満ちてそぞろに胸のうちさわぐかな”正岡子規、幼名升(のぼる)。転じて野球(のぼーる)とも号す。無類のベースボール好きであった子規は、アメリカより伝来して間もないその球技の愉しさを、折りにふれ句や歌に詠み、随筆につづった。仲間と一心に白球を追いかける、明るく元気な子規の姿が目に浮かんでくる。
目次
1 ベースボールの句
2 ベースボールの歌
3 ベースボールとは何ぞや―随筆『松蘿玉液』より(ベースボール;ベースボールに要するもの ほか)
4 ベースボールに耽る―随筆『筆まかせ』より(愉快;Base‐Ball ほか)
5 地獄に行ってもベースボール―小説「啼血始末」「山吹の一枝」より(啼血始末;山吹の一枝(抜粋))
付録 子規とベースボール
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
52
5「地獄に行ってもベースボール」。被告が、勉強のことを述べている。肺病と勉強の関係。読書との関係とは?(80頁)読書弁というらしい。表紙カバーにあるように、式は幼名升(のぼる)。転じて野球(のぼーる)とは知らなかった。だが、水島新司「野球狂の歌」もあり、野球好きの古典としては重要な位置付けにあろう。2023/02/23
Shoji
35
正岡子規はご存知の通り野球殿堂入りしています。子規のベースボール愛が強く伝わってくる一冊。熱量に圧倒されます。「ベースボールとは何ぞや」という章でベースボールのルールを解説していますが、横文字なしで野球を伝えているのがとても面白い。また、「地獄に行ってもベースボール」という章は、単純に読み物として面白くユーモアに満ちています。子規の違う一面を垣間見たような気になりました。実に楽しい一冊であった。2022/10/29
gtn
24
満基(満塁)の時が「最も危険なる最も愉快なる場合」との明治29年の記述。打者が好球を打てば二者ホームインするが、凡打ならトリプルプレーもあり得るとする。また、子規喀血後、自分を閻魔に裁かれる者に見立て、地獄に落ちてもベースボールをやりたいと述べる。ほとんど野球が知られていない当時において、子規はの熱は本物。「野球(のぼる)」という雅号も持っていた。なお「漱石とは高慢よりつけたるものか」と記す。気取っているということだろう。二人の飾らない関係が窺える。2024/08/27
あや
23
正岡子規が野球好きということは知っていたけれど、俳句や短歌、エッセイ、小説を書いていたことは知らなかった。野球のルールを綴った文章、野球愛を綴った文章は本当に面白い。野球を詠んだ短歌も良くて、表紙にも引用されている「今やかの三つのベースに人満ちてそぞろに胸のうちさわぐかな」がとくに良い。私もサッカーが好きなので、サッカーの面白さを伝える短歌が詠めたらいいなあと思う。2024/07/23
Gamemaker_K
13
文語調で書かれた野球のルールを読むと、なるほどそういうスポーツだったかという発見と理解の中間地点くらいの腹落ち感を感じますね。・・・正岡子規といえば、中学の教科書で学んだ「くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨のふる」と、共通一次試験で出題された「鶏頭の十四五本もありぬべし」の記憶が強い。しかもどちらもあまりよい思い出がなかったのでしばらく敬遠していたのだが、でも面白い人なんだよね。2023/01/08
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