出版社内容情報
近代俳句を立ち上げた文豪子規(1867-1902)の代表的な紀行文8篇を精選して,詳細な注解を付した.
内容説明
明治26年(1893)、正岡子規(1867‐1902)は、芭蕉の旅の跡を辿る東北巡歴を決行、「はて知らずの記」を残した。発病後もなお、自らを奮い立たせて旅を続け、旅先での風物、人との出会いを描いた。俳句革新、短歌革新の覇気に満ちた旅の文学者、行動する子規。颯然たる気概を伝える代表的な紀行文8篇を収録、詳細な注解を付した。
目次
はて知らずの記
水戸紀行
かけはしの記
旅の旅の旅
鎌倉一見の記
従軍紀事
散策集
亀戸まで
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
58
芭蕉の足跡を追った東北旅行「はて知らずの記」や水戸、木曽、鎌倉等各地を回った旅行記が収録されている。内容もそうだが、まずは文章の美しさに魅了される事頻り。明治の文豪による文章って得も言われぬ格調の高さがあるよね。また「はて知らずの記」に代表されるように、紀行文で当時の旅行の様子を知る事が出来ると同時に、これは子規の俳句行でもあるので句が作られた背景も知る事が出来、二重三重に魅力的となっている。日清戦争従軍記事もあるけど、戦争そっちのけで待遇の文句ばっかり言ってるのもまたおかし。「秋風や旅の浮世の果知らず」2020/01/05
ゆうゆうpanda
25
発病してからも、体調が良いときには旅を楽しんだ子規。かなりな距離を歩くし、いつもお腹をすかせているし、宿もなかなか見つからない。昔の旅行は大変だったなぁ。そんな状況に文句を言いながらも旅を楽しんでいる様子に好感を持った。俳句や短歌も飾らずに素直に詠んでいる気がした。溌剌とした子規を知ることができてとても新鮮だった。2020/02/07
めーてる
0
子規が実は旅をしている!と驚いたけど、そりゃ写実性のある俳句を読みたい子規にとっては、旅行はしたくて堪らないものだったんだろうなあ、と読んでいて感じた。注釈が細かく付いていてとても読みやすかった。2020/12/30
たつのすけ
0
◎2020/08/27
nobito
0
楽しみにしていた余り一気に乱読してしまったのがいけなかったのか、慣れない文語のせいなのか、子規の随筆が好きな僕でも感銘は受けなかった。とはいえ紀行文の中で俳句を読むと、単独で読むよりも情感が湧きやすく興味深かったり、奥の細道などで取り上げられていたり馴染みの土地が載っていたりと面白かった点もあったのは事実。あと解説によれば子規は紀行文の書き方として「写生」を旨としていたとの事。そう考えると自分の読み方に問題がなかったとも言えない。もう一度ゆっくり読んでみたいと思います。2020/01/07