出版社内容情報
第二次世界大戦下、世界各国の外交戦の全貌を描いた一大記録。上巻には,日米開戦直前の「日本の最後協定案」までを収める.(全2冊)
内容説明
一九〇九年‐一九一四年。椋鳥ならぬシベリア鉄道が運び、軍医総監の机上を埋め、作家の眼と筆が選んで伝える世界の動きは止むことがない。公務や執筆の傍ら休まず続けた、足かけ六年におよぶ世界との対話のはてに、鴎外が聴き取ったものは何か?
目次
椋鳥通信
椋鳥通信拾遺
水のあなたより
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
104
この下巻では、「スバル」に連載されていた1913年10画までとその後別の雑誌に連載された「水のあなたより」で1914年の7月までの情報が書かれています。ゲーテやシラー、シュトルムについて書かれているところはじっくり読みました。解説が池内紀さんで非常に参考になりました。これを最初に読んでいた方がもう少し楽しめたという気がします。2017/10/04
NAO
42
『椋鳥通信』下巻は、1912年12月発から、と雑誌を変え『水のあなたより』と名が変わって1913年11月発~1914年7月までの海外通信。タイタニック号の沈没で始まり、オーストリア皇太子暗殺事件で終わるという海外通信は、この時代がいかに不安定で不穏だったかを表している。そんな中、生誕百周年となるディケンズの作品論、トーマス・マンの温泉保養地での談話、ロダンの裸婦人像排斥運動とそれに対抗する文化人たち言動を紹介する記事に、文化人鴎外の面目躍如たるところが表れている。2016/02/20
壱萬弐仟縁
30
○田園生活を讃美した Knut Hamsun の新作はDen sidste Glaede (Die letzte Freude)〔「最後の喜び」33頁〕。朝鮮が日本の物になるに相違ない。満州もロシアに持たせて置いたよりは、日本の手に渡ってからの方が、殖産上の進歩があると云わなくてはならない(65頁~)。いかんぜよ、植民地帝国主義じゃないか。1911年だから仕方ないのか? ○義務農本はドイツでは行われていない。行おうと云う議と、連邦図書館を設けようと云う議とがある。2016/04/19
がんもどき
1
図書館本。 タイタニック号沈没があっさりと書かれている。1行である。そこから誰それが死んだ、誰それが誕生日を祝ったという記事がつらつらと連なる。巻末「水のあなたより」でサラエボでのオーストリア皇太子事件が描かれ、世界大戦の予感を感じさせて終わる。2020/07/05