出版社内容情報
道心深い薫と多情な匂宮。二人の貴公子と、落魄の宮家の姉妹との恋。「宇治十帖」はじまる。(全九冊)
内容説明
世に数まへられ給はぬ古宮おはしけり―。出生の秘密をかかえる薫が慕う、落魄の親王八宮。宮家の美しい姉妹に、明石中宮の子で多情な匂宮も関心を寄せる。洛外宇治を舞台にした、薫と大君、匂宮と中君との恋。匂兵部卿から総角の六帖を収録、「宇治十帖」はじまる。
目次
匂兵部卿
紅梅
竹河
橋姫
椎本
総角
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
82
正直に言って、源氏物語では宇治十帖以降からはさっぱり、覚えていません。その為、この註釈も充実したコンパクトな版で読めて嬉しいです。光源氏の聖と俗を体現するような薫と匂宮。本当は光源氏の子ではないのに大君に心惹かれると「父親譲りの好色」と噂される薫。しかし、姉妹揃って惹かれるって…。後、夜露に濡れた衣、髪から現れる顔という表現は官能性が掻き立てられますね。そして真木柱が通い婚先の事情を考慮したり、玉鬘が皇族に嫁いだ娘の不如意に頭を痛めたりと、娘時代から知っている女性陣が「母親」となっているのが感慨深いです。2020/02/08
NAO
69
光源氏亡きあとの宇治十帖、総角まで。仏身を思わせる芳香を生まれながらに身につけている薫と、薫に対抗するように常に香を焚き染めている匂宮。二人は、亡き源氏の聖と俗の象徴のようにも描かれているが、不義の子で源氏の血をひいてはいない薫が「聖」とは、なんとも皮肉なことだ。全く女性に興味を示さなかった薫が初めて執着した大君の拒否の理由もよく分からない。2020/04/19
syaori
54
匂兵部卿~総角。「光隠れ給ひにし後」、光源氏晩年の子・薫と孫の匂宮を紹介しつつ、夕霧や玉鬘や真木柱などのその後を描く匂宮三帖を経て物語は霧深く川音も「荒ましき」宇治に舞台を移します。本巻で描かれるのは桐壺帝の八宮の姫君たちと薫、匂宮の交流で、ここから若菜以降に顕著になる、宿世に惑いながら生きる登場人物たちの心の襞に分け入っていく筆が一層冴えてくるように思います。登場人物たちの内に秘めるような感情を、朧で言い尽くさない方法でこれほど豊かに表現できることにとても驚きました。大君のあえない最期を嘆きつつ次巻へ。2021/04/22
金吾
22
対照的な貴公子である薫と匂宮、対照的な姉妹である大君と中君を対比しながら話が進んでいきます。頑なさや手段を選ばない部分があります。2024/01/05
tsu55
22
匂兵部卿から総角まで。匂宮三帖と宇治十帖の一部を含む。 源氏の物語から、源氏亡き後の『源氏物語』を展開するための助走期間といった感じで、物語としての魅力はやや乏しいが、これからの展開に期待。2021/02/03
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