出版社内容情報
幸福なはずのアメリカの主婦たちに広がる正体不明の不安やいらだち。その「名前のない問題」の原因は、結婚して夫や子どもの面倒をみることが幸せだとする「女らしさの神話」にあるのではないか。神話がいかにして強固になったかを解き明かし、その解体を唱えた二〇世紀フェミニズムの金字塔。一九六三年の著作の全訳。
内容説明
アメリカの主婦たちに広がっている原因不明の不安やいらだち。その「名前のない問題」は、結婚して夫や子どもの面倒をみることが幸せだとする「女らしさの神話」のせいではないか。フェミニズム運動の高揚のきっかけとなった一九六三年の著作の全訳。(全二冊)
目次
第1章 名前のない問題
第2章 幸福な主婦というヒロイン
第3章 女性のアイデンティティの危機
第4章 情熱的な旅
第5章 ジークムント・フロイトの性的唯我論
第6章 機能主義的フリーズ、女らしさの主張、マーガレット・ミード
第7章 性別指向の教育者たち
第8章 誤った選択
第9章 性別の売り込み
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
53
アメリカで女性向け雑誌を編集していたベティ・フリーダンが感じていた違和感。フェミニズムに触れた彼女がその違和感を調査した。その結果、判明したのは自分たちが作り上げていたのはアメリカにおける男性優位社会にとって都合の良い「女性らしさ」の神話の構築だった。最近、本や映画で「アメリカは自由を標榜しながらも戦後も白人男性優位社会でしかなかった」というテーマに触れることが多かったので、やっと疑問が氷解した。同時に社会から遮断されたが為に仲間意識や情報共有ができずに孤独を感じていたという主婦の証言に心底、ゾッとした。2024/10/29
はるき
13
何十年も前のアメリカの話として気楽に読み始めたのに、気づいたらひたひたと忍び寄るおぞましさに背筋が凍りました…。女性を男性が(社会が!)望む雛形に押し込むことで男性優位社会が末永く続く。しかもそれを、いつの間にか女性自身が選んでいるなんて。 驚くなかれ、形は変われど、今もまだ世界は男性優位のまま。アメリカ大統領選挙の鍵は性別、ではないと信じたいが果たして。2024/10/29
蘇我クラフト
3
女は家庭にいる事が仕事を得るよりずっと幸せだ この幻想がどこから生まれ、一度消えて舞い戻ったのかを見る。学校へ行っても花嫁になるため、キャリアを追求する女は女としての価値がない、そんな時代を生きたリアルの声をかき集めている。ここから下巻でどういった変革をもたらすかの問題提起以降が展開されることを楽しみにしている 比較的ずっと女が男の付属品であることについて書き連ねるだけだったので後半どう落としどころを付けるかに期待2025/02/08