出版社内容情報
今日の様々な社会思想・社会科学の源泉とも言えるサン=シモン(1760-1825).実証主義と産業主義の提唱者・推進者であった彼の到達点を示す最晩年の2篇「産業者の教理問答」「新キリスト教」を収録.(解説=宮島 喬)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アルゴス
6
エンゲルスによってユートピア的社会主義者と呼ばれているサン=シモンだが、むしろフランス革命の後に遅れていたフランスの本格的な資本主義化の道を推進する方策を考えた思想家とみなすべきだろう。シェイエスは革命の際に、第三身分は何かと問いかけ、すべてであると答え、それを実現しようとした。王政復古の時代にサン=シモンは産業者とは何かと問いかけ、すべてであると答え、それを実現しようとしたのである。コミュニティ「古典を読もう」に関連して読んだ一冊。2018/03/05
あんどうれおん
3
近代社会における在野研究の始祖みたいな生き方をまっとうした思想家が、その到達点の一部をQ&A形式で披露する骨太な一冊。第二篇『新キリスト教』で語られる特異なキリスト教観も含め、いろいろな点でユニークな思考に触れること自体に一定の意義があると思える大著です。2021/11/07
ラウリスタ~
3
正直退屈な作品ですよ。特に目立つところはないんじゃないか。貴族やらよりも実際に働いている「産業者」のほうが政治に向いている、だからむしろ政治を彼らに任せよ!っていう宣言文。マニフェストの一種か。最後の新キリスト教の章はなんなのか、カトリックとプロテスタントともに批判。宗教も時代の変遷とともに進化していくべきと主張。イエスの時代にはそもそも語るための言葉がなかったのだから、時代の進歩に従って聖書以上にキリスト教が発展していくのもむしろ擁護する。その一方でカトリックをキリスト教の正反対として断罪する。2012/01/06
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