出版社内容情報
一九五○年の初めひとりの無名の上院議員がおこなった演説をきっかけにアメリカ社会はすさまじい反共ヒステリーの嵐を経験する.多くの謎と重大な教訓を秘めるこのマッカーシズムの台頭から退潮までをマッカーシー(一九〇八―五七)という「アメリカが生んだ最も天分豊かなデマゴーグ」の人間分析をとおして解明する.
内容説明
1950年の初めひとりの無名の上院議員がおこなった演説をきっかけに、アメリカ社会はすさまじい反共ヒステリーを経験する。多くの謎と重大な教訓を秘めるこのマッカーシズムの台頭から退潮までを、マッカーシーという「アメリカが生んだ最も天分豊かなデマゴーグ」の人間分析を通して解明する。
目次
かれは何もので、何をしたか
初期
全盛期
晩年
この頃から見たあの頃
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
4fdo4
11
“レッドパージ”のマッカーシーの話。希薄な根拠や、そもそも存在しない疑惑で次々と政府内の共産主義者をつるし上げていった。希代のデマゴーグと思っていたのだが、彼の場合単純な悪人ではない。友人をつるし上げた後日、何もなかったかのように気さくに声を掛ける。実は反共にそれほど興味もなかったのかもしれない。彼の欲しているのは政治的支持者の増加だったのか。敵を作り出してそれを攻撃する政治手段は現代も目にするそれだ。そもそも存在していない根拠を否定するのは“悪魔の証明”で困難なのか明白。48歳没も意外2024/05/21
壱萬参仟縁
11
1959年初出。「マッカーシーはますます金に関心を持つようになった。もともと金に強い関心を持っていたが、金を儲けることと同じくらい金を手放すことが好きだった。ところが、かれは金をためたいと思うようになった」(319頁)。この身代わりというのは理由を知りたい。よく、儲けるために儲ける、働くために働く、というその営為が自己目的化することがある。このことはいつも不思議だ。2013/08/14
jj
5
赤狩り狂信者ジョゼフマッカーシー上院議員の半生を描いた本著は、証拠なしの強引な追及方法が言論弾圧・進歩派弾圧者として、増悪に満ちた完全否定の内容でした。ところが95年のヴェノナ文書・ロシア公開文書でマッカーシーの205名を上回る3百名の工作員が政府中枢にまで活動し、ローゼンバーグ夫妻(水爆情報、本著で無実)ルーズベルト側近者など全て工作員と明らかに。マッカーシー完全否定の通説他、近年の再評価説やミトローヒン文書で明らかとなった日本におけるGHQ内の工作員の影響(現在までの)など、興味が深まりました。2016/04/21
ドント
2
共産主義への不安が増していた1950年の米国。一人の無名の議員が「私は国政に携わっている共産主義者205人の名簿を持っている」とぶち上げた。議員の名はジョセフ・マッカーシー。彼は名簿など持っておらず、その後の言動も場当たりな回避と攻撃と批判に終始し建設的な意見などみじんもなかったが、そんなことは不安におびえる当時の米国には些末なことであった。本書は彼の人生と行動と人格、そしてデタラメからはじまった数年間の暴挙を描いた評伝である。信念なき悪党(とあえて呼ぶ)の勢い・手練手管・栄枯盛衰の物語として滅法面白い。2016/05/23
sumoto
1
原書の方が読みやすいかもしれない。てかマッカーシーこわ。2024/06/14