出版社内容情報
宗教とは,社会における「聖」と「俗」の集団表象であり,社会そのものに根ざす力である.デュルケム(一八五八‐一九一七)は,オーストラリア原住民のトーテミズムを考察の対象としてとりあげ,宗教の社会的起源・機能を解明してゆく.宗教現象の研究に社会学的方法の規準を適用して科学的基礎を与えた名著.
内容説明
宗教とは、社会における「聖」と「俗」の集団表象であり、社会そのものに根ざす力である。デュルケムは、オーストラリア原住民のトーテミズムを考察の対象としてとりあげ、宗教の社会的起源・機能を解明してゆく。宗教現象の研究に社会学的方法の規準を適用して、科学的基礎を与えた名著。
目次
序論 探求の対象(宗教社会学と認識理論)
第1編 前提問題(宗教現象と宗教との定義;原初的宗教の主要概念;原初的宗教としてのトーテミズム)
第2編 原初的信念(固有のトーテム的信念;これらの信念の諸起源)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
81
デュルケムは時間、空間、数など人類共通の理性の基盤を想定し、その基盤を、人間が個人的存在であると同時に社会的存在でもあるため生まれたものと考える。即ち二元から成る人間は自らを超克するため理性を養うしかなく、それを何世代にも渡って受け継いできたというのだ。宗教や聖性もまた神秘ではなく、社会的な事象としてその起源を考察していく。するとナチュリスムやアニミズムは、自然や夢に対して神話的解釈ないし幻想を立てるものとして退けられ、トーテミズム(同じ動植物などの名を負う氏族間の結びつきによる社会制度)が浮上してくる。2018/10/31
壱萬参仟縁
20
社会学の本質的な公準: 人類の制度は誤謬と欺瞞とに安住できない(19頁)。宗教とは神話・教義・儀礼・祭式の複雑な一体 系(70頁)。善と悪とは同じ綱の種を異にするが、聖と俗は異なる綱、共通をもたない世界(74頁)。 考える:観念を整理、分類すること(136頁)。社会は、個人意識のうちに、これによってのみ、実存しうるから、集合的な力が われわれに滲透し、組織化するのは当然(379頁)。 2015/04/14
ゲニウスロキ皇子
8
フランス社会学派の泰斗エミール・デュルケムの著書。宗教の定義を「聖と俗の区分」と「集合表象」の所産とした功績はあまりにも大きく、後世への影響大である。また、科学としての社会学を標榜するに当たり、神を社会に置き換える手法の鮮やかさには感服せざるを得ない。そして社会は個人の総和以上の超越論的な概念へと変貌を遂げる。この点は、近年ブルーノ・ラトゥールなどが批判している。まあなんだ、偉大なんだよ、このお方は!社会学および周辺分野の学問を学ぶのであれば、デュルケムと一度殴り合う必要があると思う。勝てないけどねー2011/10/16
あんこ
2
宗教の源泉が社会であること。それをトーテミズムの研究から非常に論理的に説明している。何点か理解できない箇所、解決できていない問題点が残るので下巻に期待。2022/11/26
madofrapunzel
2
★★★★★ 社会学者デュルケームの、考察には一切妥協を許さない真摯な姿勢にまず恐れ入りました笑 宗教の定義に始まり、考察対象をオーストラリアのトーテミズムに絞ることで、原始宗教の本質を明らかにしていく。その過程は一般人にも分かりやすい内容で、なるほどそういうことだったのか!という発見が多いと思います。下巻にも期待!2011/03/03