出版社内容情報
アメリカ・インディアンの生活を研究することによって,古代の状態を明らかにし,併せて未開社会と文明社会とを比較して人類発展のあとを解明した文化人類学上の労作.エンゲルスが,本書を基礎として『家族・私有財産・国家の起源』を書き,母系制氏族社会を科学的法則的に究めようとしたことはあまりにも有名である.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
逆丸カツハ
21
マルクスが読んでたということで目を通す(他に古本屋で買ってみたい本がなかった。)通俗的な進化論に染まっているところはあるものの、詳細な記述は好感。氏族社会に優れた民主主義があったことはわかったが、そういったものを現在にそのまま持ってくれるかというと、コンテクストがあまりに違いすぎて難しいのだろうなぁ。2024/03/09
mstr_kk
6
もうちょっとすっきり書いてもらえるとありがたいんだけどなあ、というのが正直なところです。たいへんな力作であることは分かります。19世紀後半の、人間社会を進化論的にとらえる思想的傾向の代表のような書物です。これがマルクスやエンゲルスに影響を与え、唯物史観につながったとか。まがりなりにも読んでみて思ったのは、「人間社会の進歩の仕方は普遍的な一つのものである」というテーゼにおいては偶然性とか地理的特性が考慮されていないんだなあ、ということです。現在は否定されている学説です。が。→コメントへ2015/05/19
赤坂サラザン
2
アメリカ・インディアンの社会を描いた文化人類学古典の名著。翻訳の言い回しの堅苦しさに苦戦しました。今となっては一部ナンセンスな理論ではあるものの、詳細な調査に基づく研究論文は圧巻で、今尚色あせない素晴らしい内容です。白人の弁護士でありながら地元イロコイ族の生活に関心を寄せ、彼らの研究をする過程で養子縁組まで行った経緯を見れば、著者が単なる差別主義者ではないのは明白で、実際に本を読み自分自身で感じることの大切さを痛感しました。2014/06/08
すが
2
上巻はひたすらインディアン部族などの政治形態の話をしているので,経済学やっている身からすると若干退屈.しかも同じようなことが繰り返されている.証拠を提示するっていう意味では必要なんだろうけど…つらい.下巻に期待.2012/09/02
つちのこ
1
岩波文庫版1977年7刷。上巻。同年読了。