出版社内容情報
アメリカの急進的な雑誌ザ・マッセズの通信員として,一九一七年にペトログラードに滞在していたジョン・リード(一八八七‐一九二〇)が,十一月にそこで目撃した激烈な歴史的事件――ロシア革命――の真相を克明に綴ったルポルタージュ文学の古典.豊富な資料を駆使した迫真のドキュメントで,クループスカヤ,レーニンが序文を寄せている.
内容説明
ペトログラードで、モスクワで激しい闘いがつづく。演説速記録・新聞記事・布告・ビラ等を縦横につかって記されたこのルポルタージュは、徹底した事実の報道と深い洞察によって、革命現場の臨場感をひきだした迫真のドキュメントになっている。
目次
第8章 反革命
第9章 勝利
第10章 モスクワ
第11章 権力の獲得
第12章 農民大会
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
46
新たな理想の社会の実現のために戦っていたボリシェヴィキーが政権を掌握してゆく過程で、出版の自由やその他の意見の相違から分裂し、強硬姿勢を強めてゆくのに加え、ドゥホニン将軍惨殺に見られるような、半分暴徒化しているように思える群衆の様子を見ていると、革命の美しい理想は一体どこへ行こうとしていくのかと思わずにはいられません。ユートピアとディストピアは紙一重、とはよく言われる言葉ですが、気づけば姿を変えている理想について、あの闘争の熱が推し進めたものについて、革命のその後の100年を思いながら考えてしまいました。2018/04/23
やまやま
16
10月革命プロレタリア独裁という話の一つの根拠にペトログラードの11月30日実施の選挙結果があり、本書にも付録でついていますが、ボリシェビキはどう見ても半数も票を獲得できておりません。少数派が支配を合法化する手段として常時議会を活用するのはリスクが大きいことも読み取れます。ブルジョア出版の禁止も同じことで、反革命に通じるものには妥協できません。この話をアメリカ人のジャーナリストが書いているわけですが、同様に中国やタリバンやISに関してその政権中枢のルポが執筆できるか、と言えば困難さが把握できるでしょうか。2021/06/28
金吾
11
ボルシェビキが勝利するまでの流れがよくわかりました。理念と実践はどうしても隔たりが大きくなるのだなあと感じました。著者との関係性があるかもしれませんが、トロツキーの活躍ぶりに比しほとんど目立っていないスターリンが最終的に絶対権力を握ったことは考えさせられるものがありました。2020/11/07
Happy Like a Honeybee
8
反革命から権力獲得までを。 銀行や出版通信手段などが新政権へ移行する過程が興味深い。 飲酒製造が早い段階から禁止されるなど、庶民の娯楽が減っていく。 不自由とは自由がなくなって、初めて気付くもの。 社会主義国家は壮大な実験か。 アジア型社会主義国家は存在しており、否定するには早すぎる? 2018/01/03
活字の旅遊人
5
やはり世界史は西洋史だったあの頃。。。。こういうジャーナリスティックな記録も大事。