出版社内容情報
経済学をどう学んでゆけば「学派」に捉われずしかも鮮明に事態を理解しうるか.この設問で始まる本書は,近代経済学の諸系譜を,高い水準を保ちつつ平易に解明した労作.ワルラス的均衡論に対するケンブリッジ学派への意味付与,計量経済学の独自性の評価等々は,マルクス経済学の再検討と共に歴史的意義を持つ. (解説 伊東光晴)
内容説明
経済学の流れを見直した著者(1901‐52)は、(下)でその具体的作業にとりかかる。ワルラス的均衡論に対するケンブリッジ学派の意味付与、計量経済学の独自性の評価等々は、マルクス経済学の再検討とともに古典的意義を持つ。本書によって読者は、近代経済学とマルクス経済学の双方を生かして読む目と手段とを得られるであろう。
目次
序章 第二巻の研究態度とその課題
第1章 近代経済学の現代的遺産(オーストリア学派の経済学の理論的遺産;ローザンヌ学派の経済学の理論的遺産 ほか)
第2章 ケインズ学派とその展開(ケインズ学派の経済学の現代的意義;ケインズの『古典派』批判 ほか)
第3章 マルクス経済学の基本性格(英米学派の経済学に対するマルクス学派の経済学の特色;マルクス学派の価値論 ほか)
第4章 計量経済学の現状(計量経済学の樹立を要請した経済学界の特殊事情;計量経済学と理論経済学との統一的把握およびその相対的独立性 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
99
杉本栄一の近代経済学の解明の下巻で、近代経済学の現代的遺産、ケインズ学派、マルクス学派、計量経済学の現状という構成になっています。マルクス経済学者にしてはかなり公平に書かれている気がしました。最も最初の考えではこれが中間で下巻は近代経済学とマルクス経済学の対比と均衡理論の諸形態も記述する予定であったようです。読んでみたい気がしました。2016/10/19
home alone
3
ケインズ、マルクス、計量経済について書かれてる。マルクスに重点置かれてる。著者はマルクス経済学者らしい。マルクスの部分が一番面白かった。2012/11/23
nox
1
当時の経済学の主流であった二派、ケインズ学派とマルクス学派の解説、更に計量経済学について書かれている。経済学の目的は社会経済の解明であるが、経済は様々な要因により、時と共に変化していく。これらを解明するためには、社会全体を刻々と変化していくものと捉え、動態的に理論を構築する必要がある。経済学はその方向へ舵を取ったようだ。また、マルクスの理論は資本主義社会の中に存在する矛盾を暴き出し、資本主義の進んだところにある共産主義を説いた。現代から見れば、共産主義は失敗したが、資本主義の矛盾は依然として残っている。2019/11/19