出版社内容情報
成熟した資本主義の複雑なメカニズムを分析した書物として,本書はケインズの『一般理論』と並ぶ古典的地位を占める.資本主義経済過程を循環‐発展の二段階的に把握し,革新・新結合という経済内部の自発的な発展力に着目し,信用・資本・利子・利潤・景気循環などの問題を統一的に解明する.
内容説明
成熟した資本主義経済の複雑なメカニズムを分析した書物として、本書はケインズの『一般理論』とならぶ古典的な位置を占める。資本主義経済過程を循環―発展の二段階的に把握し、革新・新結合という経済内部の自発的な発展力に着目して、信用・資本・利子・利潤・景気循環などの動態論的問題を統一的に解明する。
目次
第1章 一定条件に制約された経済の循環
第2章 経済発展の根本現象
第3章 信用と資本
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
加納恭史
21
アダム・スミス著「国富論」を読み始めたが、またハイエク著「隷従への道」で自由主義の大切さを思い、マルクス主義が独裁やファシズムを生むという理論にも驚いたが、アダム・スミスの次にこの本を読んでいる。シュンペーターもアダム・スミスの自由経済のあり方にまず基本としていることが分かる。また生産と分配の分離についてはJ・S・ミルの自由主義を参考としている。まず第一章「一定条件に制約された経済の循環」。生産要素として、労働と土地を取り上げている。また需要と供給を念頭に置きつつ、生産要素の労働から賃金を検討している。2022/07/07
タケヒロ
12
第2章でのシュムペーターが情熱的!「『単なる業主(経営者)』が一日の労働を辛うじて終えるのに対し、われわれの類型(起業家)はつねに余力をもって他の活動領域と同じように経済的戦場を選び、変化と冒険とまさに困難そのものとのために、経済に変化を与え、経済の中に猪突猛進する。他方では、それはとくに仕事に対する喜び、新しい創造そのものに対する喜びである。それがそれ自体独立した喜びであるか、行為に対する喜びと不可分のものであるかは問題ではない。」との言葉が熱い!2015/03/19
Francis
9
10数年ぶりに再読。ケインズと並んで注目されることの多いシュンペーターの主著。新結合(革新もしくはイノベーション)が経済の均衡状態を破り、経済をダイナミックに発展させることについて考察。新結合を推進するために金融の役割や、企業家精神が重要であることが説かれる。ケインズの「一般理論」と共に読んでおきたい経済理論書。2015/01/19
肉欲棒太郎
7
「企業者」を「資本家」と区別するという観点は興味深い。循環と発展、静態と動態、指導労働と従属労働などの概念に刺激受ける。資本の定義の箇所も面白かった。資本主義のポジティブな側面をシュンペーターの経済発展論が、ネガティブな側面をマルクスの搾取論が焦点化して論じていると思う。2016/01/21
isao_key
7
ケインズの『一般理論』と並び称される経済学の古典的書物。思ったよりは読みやすい印象。キーワードは循環、新結合、発展。経済発展について「経済発展とは本質的に現存の労働用役および土地用役を他に転用することである。(中略)新結合の遂行は労働用役および土地用役を慣行の用途から奪い取ることによって行われる」と述べる。資本主義経済の要素となる循環、発展、新結合に目を向け分析した本書は現在の経済学にも大きな影響を与えた。ただ冗長な言い回しが多いので、もう少しすっきり整然とした簡訳であればもっと多くの人に読まれると思う。2013/12/26