出版社内容情報
レーニン(一八七〇―一九二四)は,マルクスの理論をうけつぎ,資本主義の独占的段階が帝国主義であると規定した.金融資本と金融寡頭制,資本の輸出,寄生性と資本主義の腐朽化,列強諸国による世界の分割などの問題が,豊富な資料にもとづいて平易に語られている.本書は,現代世界を把握するための重要な古典としての価値をもつ.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
31
1917年初出。競争は独占に転化する。結果、生産の社会化の巨大な独占前進となる。技術発明や改良過程も社会化(43頁)。R.リーフマン曰く、 商業とは、財を蒐集し、貯蔵し、そしてこれをひとの使用に供するようなする生業(傍点、78頁)。資本主義とは、労働力もまた商品となる、発展の最高段階にある商品生産である(102頁)。金融資本は、完全な政治的 独立を享有している国を隷属させられる(135頁)。2014/11/06
34
14
レーニンはホブスンとはちがって帝国主義を資本主義の不経済な側面ではなく避けがたい最終局面とみなす。19世紀を通じての自由競争の激化は不況を機にカルテルの形成(独占)と金融化をもたらした。国家独占資本主義は世界を野望に応じた複数のブロックへと区切り、競合ブロック間の摩擦は最終的には戦争へと発展した。上記のプロセスを不可逆的なものとみるレーニンにとって、国民の消費能力の改善(分配)によって帝国主義を回避しようとするホブスンの提案は、帝国主義へと導かれる資本主義の本質(搾取)と矛盾するものとおもわれたのだった。2021/08/15
金吾
10
政治的視点ではなく経済的視点から述べているのは意外でした。(原題を見れば当然なのですが思い込みがありました) 帝国主義を資本主義の発展段階てしてとらえる考えは、今から見ると明らかに間違えていますが、当時はセンセーショナルな考えだったのかなと思いました。また、自分の考えは絶対的に正しいと断言する辺りは教祖様みたいだなと感じました。2020/07/23
TALOS
7
富の集中と社会の階層化、列強による植民地獲得競争をもたらした帝国主義に強烈な肘鉄を喰らわしたレーニンによる帝国主義分析の書である今作品。 自由競争が独占をもたらしブルジョワを頂点とするヒエラルキーが形成されるとしたレーニンの警告は厳密な意味での帝国主義が消滅し社会主義が歴史用語化しつつある現代に於いても無視できない説得力があります。 付録にある党大会での宣言は民族・プロレタリアートの自立のためとは言え手段を選ばない旨の発言は当時の各国政府が彼らを危険視したのも納得できるような気がします。2016/01/12
ふたし
6
帝国主義が資本主義の最高形態であり、最終形態であるということは何となくわかった。それにしても、主張を異にする他の社会主義者への批判が多い。共産主義運動って、細かな路線の違いが大闘争になったりして、そこが一番共感できない。2023/12/30