出版社内容情報
マルクスのよき協同者であったエンゲルスの大著『反デューリング論』から三章を抜粋して編まれた小冊子.十九世紀の空想的社会主義の紹介と批判,弁証法的唯物論の成立の歴史,資本主義の発達のうちに科学的社会主義が到来する必然性がやさしく説かれる.発表当時から社会主義理論の入門書として最も多く読まれている.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aster
71
とても分かりやすい。英語版の序文は飛ばして読んだが… まず論理として社会主義、もとい科学社会主義は発明ではなく発見されたと主張している。そして弁証法的唯物史観、なるほど同意出来る。資本主義の幻想を打ち破る全く刺激的な読書であった。しかし実際問題、資本主義は今も尚世界を席巻している。社会主義が敗れたのは何故なのか。もっと深く知りたい。思うに資本主義は社会主義との二元論で語られるようなものではなく、もはや主義の域を出ている気がする。つまり資本主義とは人間存在と不可分の、ある種影のような存在なんだろう。2020/05/14
おたま
45
『空想より科学へ』は、もともとは『反デューリング論』として出版したものから、三章を抜粋してより簡便に読めるようにした本。当初の書名『空想的社会主義と科学的社会主義』からも分かるように、エンゲルスはマルクスとともに、自らの立場を「科学的社会主義」と規定し、それまでの「空想的社会主義」との違いを知らせるためにこの小冊子を編んだ。第一章「空想的社会主義」では、サン・シモン、フーリエ、ロバート・オーウェンの、いわゆる「空想的社会主義」について書かれている。興味深いのは、エンゲルスが決して彼らを⇒2024/05/23
cockroach's garten
30
『反デューリング論』から三章を抜粋した短い小冊子。本文だけを数えるならば、100ページにも満たない。精神的な思惟に基づいた歴代の空想的社会主義より、唯物論と弁証法によって導き出される科学的社会主義。つまり、マルクスの共産主義によってこそユートピアが生まれるという。現代から顧みると、中世的な経済社会を目指す社会主義は腑に落ちないところがあるが、当時は今よりも横暴な資本家によって労働者が働かされていたので、厭世観が漂っていたのかもしれない。何れにしろ、本書が簡潔で扇動的な文で辟易していた労働者に疑問を持たせた2017/03/14
おせきはん
21
社会主義が何を目指していたのか明確になりました。資本主義の課題に対する指摘には共感することも少なくありませんでした。現代にマルクスやエンゲルスが生きていたら、どのように社会を見るのだろうかと考えながら読みました。2024/06/02
かんがく
19
エンゲルスの書いた社会主義思想入門書。一章は従来の空想的社会主義について、二章は弁証法について、三章はマルクスの唯物史観による資本主義分析について。ページ数は少ないが、マルクス主義を理解するための必要事項がしっかりと盛り込まれていた。2020/02/03
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