出版社内容情報
マルクスが自ら生涯の事業と呼んだ『資本論』.レーニンが“現世紀最大の政治経済学上の著作”と呼んだように,近代資本主義社会の経済的運動法則を徹底的に究明して,経済学を“革命”し,また人間社会に対する見解に完全な変革をもたらして,社会主義を科学的軌道に乗せた不朽の名著.ディーツ版による改訳.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
逆丸カツハ
21
馬の耳に念仏とはまさにこのこと。私は馬です。2024/06/25
非日常口
14
地代と地価の関係性。差額地代Ⅰ(土地の性質的な優劣)とⅡ(再投資)の問題から絶対地代、そして土地すべてが利潤の源泉であろうという期待になり、土地すべて地代がいくら得られる”見込み”が想定されだす。そのとき、現実ではなく未来が換金できるという妄想が生まれる。可能性はリスクや夢という言葉に還元され、拒否できない将来からの収奪が始まる。少子高齢化が進む国で国債を増刷ことはどれだけの暴力なのか。言葉で出生率をいくら上げたとしても、それは実体がない。フィクションを現金化するペテンが横行する底流を知るための一冊。2014/12/24
中年サラリーマン
13
地代に関する話。特に目新しい感じはなくG-W-Gの応用って感じ。資本論も残すところあと一冊。ようやくここまできた。2014/03/24
浅香山三郎
12
おもに農業的な目的についての土地利用とその地代のあり方について、各々の土地の生産条件(収穫量・環境条件)をパターン化し、地主に剰余価値が渡る仕組みを論じる。剰余価値と労働価値説がベースなのだといふ、マルクスの理屈がベースだが、残念ながら細かい点は頭に入りにくい。原著第3巻(岩波文庫6〜9巻)は、委細はともかく、利潤・利子・地代といふ話の構造はまだ理解しやすいのではないかと、私は勝手に捉へてゐる。2024/07/25
またの名
12
徐々にアカい1巻から変化し表紙のマルクス緑化。労働者の搾取と金融的な資本の自己増殖を論じた次に扱うのは、働く人間ではなくセルフで勝手に価値を生んでくれる自然力。材木や石炭は金で買うけれど、水が蒸気になる際のエネルギーも自然力なのに金を払わない事実からして、自然力そのものは価値を持たず社会的諸関係のネットワークに取り込まれ諸関係を反映した価値が生じる。技術その他の状況が変われば儲かる土地と儲からない土地のステータスも変動すると論証し、結局そこでも剰余価値を搾取し加えて土地をも搾取し濫費する資本の無謀を指摘。2020/01/26