出版社内容情報
ナポレオン一世により本質的な変貌をとげた戦争形態たる国民戦争を精密に分析して,近代戦争の特質を明らかにした戦争哲学である.なお,戦史の理論的問題に正しい視点を提示し,戦争と政治・戦争の原型・戦争の本性を明らかにする.軍事専門家のみならず,エンゲルス,レーニンなどにも多くの影響を与えた.
内容説明
防御と攻撃とを詳論した後、再び戦争を全体として考察する立場に返って「戦争計画」を論究。戦争によって、また戦争において何を達成しようとするのかという問いのもとに、戦争の全貌を通観しようとする。付・索引。
目次
第6篇 防御(続き)(森林地防御;哨兵線方式;国土の関鍵 ほか)
第7篇 攻撃(草案)(防御との対立関係における攻撃;戦略的攻撃の性質;戦略的攻撃の対象について ほか)
第8篇 戦争計画(緒言;絶対的戦争と現実の戦争;戦争の内的連関 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アミアンの和約
19
10数年ぶりの再読。ナポレオン時代の軍人クラウゼヴィッツが軍人生活の全てを注いだ傑作。惜しむらくは著者本人が完成をさせることなく没してしまったことだが、後半の推敲が足りないという程度で抜け漏れはない(といわれる)。戦争そのものの定義から軍事行動、戦略や戦術、軍制に至るまで幅広い省察が伺える普及の名作である。2023/11/01
CCC
12
防御は攻撃よりも強力とか、奇襲の有効性とか興味深い話もあったけれど、印象に残ったのはナポレオン、フードリッヒ、ロシア軍。強い時代性を感じた。2017/03/28
KAZOO
10
やっと下巻まで来ました。防御の続きと攻撃、戦争計画の巻で過去の様々な戦争からの引用が多くあり、全3巻を読んでみて本当にドイツ人の仕事だと感じました。ただ文章を読むのは本当にしんどくて、これをだれかもう少し簡潔に図解や表を使って整理してくれるといいですね。2013/11/03
TALOS
7
かれこれ4・5年かけて読み終えた今作品ですが、正直3割理解できたかどうかって感じです(笑)ナポレオン戦争辺りを対象に戦争というものの本質を追求する本作品でしたが、現在の国際情勢を鑑みるに内容に全くの古臭さを感じさせませんでした。2022/05/07
isao_key
6
下巻も引き続き防御、攻撃、戦争計画などの細かな戦術について述べられている。3冊読み終えて感じたのは、クラウゼヴィッツは、当然ではあるがヨーロッパの戦史に通暁していたこと。よく取り上げられる人物としてナポレオン、フリードリヒ二世が多い。地名ではオーストリア、フランス、プロイセンの名がよく出てくる。いまさらながらオーストリアがかつて大国であったことを思い知る。この本の読みにくさのひとつには、ヨーロッパの戦史を知っていなければ、イメージが掴めず楽しめないこと。ただ戦争に関する理論と記述は今なお色あせていない。2013/06/25
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- 和書
- 札幌夫人 集英社文庫