出版社内容情報
第4編「経済学の諸学説について」の第5章から第5編「主権者または国家の収入について」の第1章までを収める.主として,重商主義の貿易独占と植民地支配の批判で,アメリカ革命への支持を予知させる.(全4冊)
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
泉のエクセリオン
10
今巻では主に重商主義への批判が語られる。興味深かったのは「植民地」についてでは、その建設において「金銀山探し」と「無害な原住民の国土を領有しよう」という「愚行と不正が植民地計画の指導原理であった」と指摘している点。何処かでこんな話聞いたなと思ったらルソーの『人間不平等起源論』において「所有の観念こそが、人間の不平等の起源である」と述べていたところと似ていると思った。植民地計画では他国の金銀山、領土をわざわざ荒らしに生き挙句の果てには「この土地は私のもの」と勝手に宣言し戦争まで行うのだから。2025/02/16
てれまこし
9
重商主義の正体は、私益を国益として売り込む一部の集団の政治的圧力を正当化するイデオロギーである。それは国富を増やすように見えて実は減少させる。そんな損なことをするのは、国内の富の配分が独占利益を享受する一部の生産者によって決定されてしまうからだ。じゃあ、本当の国益とは一体誰の利益なのか。すべての国民である。国民とは何か。消費者である。財価格の低下の恩恵はすべての消費者に等しく分け与えられる。最初の国民は消費者として現れる。否、もはや国民の間の違いさえ重要ではなくなるだろう。消費者は最初の普遍的人類なのだ。2018/10/04
壱萬参仟縁
6
日本の輸出業者は円高やTPPで揺れているが、輸出奨励金とは貿易促進の一策だったのだろうか(13ページ)。ウィン・ウィンの関係でなければ取引など成立しないはずだが。奨励金なり補助金なりは、どの程度インセンティヴがあるのか、古典から教えていただけるのがうれしい。TPPの長所は何か。国富論から示唆されることがありはしないか。本巻は植民地についての叙述もかなりある。支配と従属はTPPでも確実に起きてくる。日本は米国の属国の可能性があるが、その米国も欧州にやられた時期があった。TPPで日本の国富は豊かになれるか?2012/11/28
Francis
6
この巻は重商主義と植民地支配への批判であり、自由貿易が説かれる。スミスはアメリカ独立を支持しているとも取れる。また、当時の東インド会社などの会社組織に対する懐疑的な見解も載っている。企業活動の自由を強調するミルトン・フリードマンら新自由主義者はこのスミスの見解を読んでいるのか、疑問に思えてきた。2012/10/31
penetore
3
重商主義・植民地支配への批判、自由貿易の説明がされている。2013/12/01