出版社内容情報
A.ハミルトン[ハミルトン,A.(アレグザンダー)]
著・文・その他
J.ジェイ[ジェイ,J.(ジョン)]
著・文・その他
斎藤 眞[サイトウ マコト]
著・文・その他
内容説明
世論に訴えて連邦憲法案の批准を確保すべく執筆された論文集。およそ政治の根底にある権力の必要性と危険性との緊張関係を鋭く把握し、権力と自由との均衡をいかに確保するかを説く、アメリカ政治思想上第一の古典。
目次
序論―論述の目的と性格(ハミルトン)
対外関係と連邦の効用(ジェイ)
対外関係と連邦の効用 続き(ジェイ)
連邦共和国の利点―モンテスキューの連邦共和国論(ハミルトン)
派閥の弊害と連邦制による匡正(マディソン)
連邦共和国と海洋国家(ハミルトン)
連邦共和国の実現可能性(マディソン)
連合規約の欠陥―邦連合としてのアメリカ(ハミルトン)
連邦の維持と強力な権限(ハミルトン)
共同防衛の必要性とその性格(ハミルトン)
内政における連邦政府の役割(ハミルトン)
連邦共和国内における軍事力の行使(ハミルトン)
「必要にして適切」条項と「最高法規」条項(ハミルトン)
憲法会議の課題とその難しさ(マディソン)
憲法反対論の要約と連合規約の欠陥再考(マディソン)
憲法案の共和政と連邦制との関係(マディソン)
列挙された連邦の権限と留保された州の権限(マディソン)
連邦政府および州政府と人民との関係(マディソン)
権力分立制の意味(マディソン)
立法部による権力侵害の危険性(マディソン)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
うえぽん
44
1787-88年に、米連邦憲法案への反対論を抑えるため、NY邦の新聞紙上に連載された85篇の論文集。文庫版では31篇の訳を掲載。連合の決議は直接人民に適用されず、各邦を拘束するだけで、実際には無視されうる勧告でしかないと当時の連合規約の欠点を指摘しつつ、新憲法による連邦化が各邦の脅威とならず、外交上も内政上もプラスに働くことを個別論点に分けて詳述。上下両院議員の選出法や任期、権力分立の下での大統領や司法の権限なども、各邦憲法の規定と比較しつつ、連邦憲法における案を擁護。米国政治の源流の理解には必須だろう。2025/09/30
ヒロキです
16
アメリカの合衆国憲法が何故必要であるのか、それを明記すべきかについて仔細に論じた本。 他には合衆国大統領の任期についてや大統領の役割、州と国の区分、共和国についてのことについて論じられている。 アメリカの現在の政治について詳しく知れるだけでなく今回は政治の中での憲法の必要性について深く考えさせられる名著であると思う。2019/10/13
Francis
13
これも10数年ぶりに再読。アメリカ合衆国憲法の制定に携わったハミルトン、ジェイ、マディソンが憲法原案に対する批判に反論する形で合衆国憲法の原理とその長所を述べたもの。連邦制、三権分立、両院制、大統領制、裁判官終身制などが主な論点。彼らの主張は現代でも十分通用するほど優れていると思う。世界最初の成文憲法制定の過程でこのような質の高い議論が行われていたことに驚きを禁じ得ない。2017/12/05
Hiroshi
9
独立したアメリカの13州は連合規約により同盟を結んでいたが、英仏両大国に対抗する為などから全国的政府の樹立の必要が主張され、連邦憲法草案が作成された。ザ・フェデラリストは、A.ハミルトンとJ.マディソンとJ.ジェイがニューヨーク州に連邦憲法草案を批准するよう説得するために新聞上に発表した計85篇の論文である。政治哲学と実践的政治に関して米国で書かれた著作の中でも最も重要な作品である。本書は、政治の古典としてよく引用され引照される各篇と、現代政治理解に示唆を与えると思われる各篇、計31篇を選び和訳したもの。2020/10/26
日の光と暁の藍
8
連邦制のメリットを様々な論点で述べているが、個人的に興味を惹かれたのは、派閥(党派)について述べられた第10篇。派閥は人間の本性と財産が不平等に配分されていることにより生じる。そのことがもたらすのは、様々な利益を代弁する者たちの利害の衝突であり、人々の諸階層への分断である、と。マディソンは、原因そのものはなくならず、出来ることは、そのもたらす悪い結果の抑制だけであると述べる。少数者の陰謀を一致団結した多数派により抑制する必要がある、と。当たり前でありながらなされていない民主主義の精神的態度を指摘している。2020/12/26




