出版社内容情報
晩年のホッブズが「革命の生き証人」として書いた「同時代史」とも言われる本書は,彼の政治思想の母体となった歴史観と,文明史への強烈な関心が端的に示されている.『リヴァイアサン』理解のための必読書でもある.
内容説明
晩年のホッブズが「革命の生き証人」として書いた「同時代史」とも言われる本書は、法、正義、主権、刑罰、司法、国家の歴史、信仰の自由などの概念の分析を文明史と交差させ、彼の政治思想の母体となった歴史観を端的に示すとともに、文明史への強烈な関心を表している。『リヴァイアサン』理解のための必読書でもある。
目次
1 理性の法について
2 主権について
3 国王は最高の裁判官である
4 裁判所について
5 死刑に相当する重要な犯罪について
6 異端について
7 教皇尊信罪について
8 刑罰について
9 恩赦について
10 「私の所有するもの」と「あなたの所有するもの」の諸法について
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Haruka Fukuhara
11
ざっと。ホッブズという歴史上の人物がどういう文章を書いたのか、何を考えて何を伝えようとしていたのか、少しだけ知ることができてよかった。そしてこの哲学者と法学徒との対話という本を何らかの下敷きにして道垣内先生と佐伯先生の対話や安藤先生と別の法哲学者との対話、もっと前にも実定法と法哲学の対話があった気がするけど、それらの本が生まれたのだろうかと想像すると少し感慨深い気がする。2017/07/28
てれまこし
7
『ビヒモス』と同じく晩年に書かれ死後公刊された。やはり対話形式をとって、法学者エドワード・クックの『提要』を批判的に検討してる。違いは、神学者、聖職者ではなく、慣習法を重視する議会派の法学者たちが標的になってる点。法とは主権者の命令以外の何ものでもなく、慣習法は主権者が黙認するかぎりにおいて法である(だから後のバーク的保守主義の立場を否定してる)。議会の法律家たちが何を言っても、この立法権は主権者の不可分な一部であって、これを侵害することは許されない。王の主権擁護なんだが、理論的には議会も主権者たりうる。2024/04/25
Fumoh
4
ホッブズの晩年に書かれたとされる、対話による法・政治哲学論です。これを読み解くには、当時の複雑極まりない「伝統VS革新」の構造とか「王党派VS議会派」とかの、文脈の理解が必要になると思いますが、当然そんな途方もないことをやる人はいないと思いますし、訳者による詳細な解説が付属していますので、そちらを参考にすれば、ホッブズの特殊であり先進的(すぎるといっていいくらい)な立場が見えてきます。議会派であり、ホッブズの論敵として今作でやり玉に挙げられているエドワード・クックですが、これを見てホッブズを王党派だとか、2024/12/14
抹茶ケーキ
2
対話篇だけど時事っぽい話が多いし話が飛ぶので、リヴァイアサンよりむしろ読みにくいような気がする。国王主権説だけど、国王は国民のためにあると言っていたり、あくまで国王を国家の安定の手段と見てたんだろうなと思った。2017/01/31
touhu@レポートに埋もれています
2
哲学者側の意見と法学徒側の意見を交えた対話文 内容はじっくり考えないと。分からないとこあるが、対話文なのでそこはかとなく読みやすい。リヴァイアサン読む前に読むといいかもしれないですね。2014/02/15