出版社内容情報
本書は科学の諸部門に通達したポアンカレの根本思想を示したもので,数学・物理・心理・論理等,科学と哲学とにわたり,科学思想を扱った論著に広く利用されている.科学とは何か,その基礎は何かというような大きな問題とともに,数学の推理と碁・将棋の推理との違い,感覚と幾何学との連関,波動説と粒子説との関係をも説く.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gotoran
17
科学哲学の古典の本書。数学と物理(数学的推論、非ユークリッド幾何学、古典力学と熱力学、確率、マックスウェル方程式と光学、電気力学等)において、どのように仮説が使われているのかが、詳細に解説・考察されている。特に、科学・技術の進化は、仮説・検証に支えられている。そういう観点から、非常に興味深い内容であった。ただ、一般読者向けとは云うものの、若干の数学・物理の基礎知識が必要と感じた。2013/05/25
壱萬参仟縁
11
多元数理の友人がポアンカレを取り上げていたので、少しでも理解を、と思って借りた。出直し法は、中学生でもわかる。つまり、定理がn-1について真ならば、nについても真である、ということで、1が正しければ2が正しい、と自然数を一つずつ検証していくもの(32頁)。多次元の物理的連続の概念を定義し得たのは、感覚の集合は識別し得るか、し得ないかという甚だ簡単な事実による(56頁)。リーマンの短い論文「幾何学の基礎に存する仮説について」(61頁)はかけがえのない役目を果たしたという。幾何学の公理は規約である(76頁)。2013/12/20
roughfractus02
8
実験物理学と理論物理学の関係を石の集積と家に例える著者は、両者を媒介する仮説の役割に注目し、さらに実験で確認される実り多い仮説と定義や規約に飾られた仮説を区別する。そのベースにはカントの経験に拠らない「先験的総合判断」と「分析判断」の区別があり、かつ経験的「総合判断」を重視する著者の<仮説としての科学>という態度がある。本書は分析判断に固執して純粋化する数学を批判し、先験的総合判断としての数学的帰納法と総合判断としての経験を繋ぐ当時の科学での仮説の検討からヒューリスティクス(発見)としての科学を強調する。2017/10/10
さきん
8
科学は仮説の積み重ねであることを著者の知る限りの例を挙げて説明していく内容。啓蒙的で科学を学ぶ姿勢を正してくれる。また現代の研究もそうが、最新の研究は結構感性に頼るところがあって、答えから立証することがあるということ。2015/07/09
Happy Like a Honeybee
7
科学の教科書を読む錯覚に。 近代物理学やマクスウェル。 ユークリッド幾何学、確率論、数学的推理の本質。 初歩的な知識さえあれば、ページをめくる知的好奇心を掻き立てる一冊だ。2019/04/09
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