出版社内容情報
『キリスト者の自由』は,福音主義の信仰の真髄を明らかにしたもので,ルター(一四八三‐一五四六)のいわゆる宗教改革的論文中の珠玉の一篇である.小著ではあるが,ここには「キリスト教生活の全体」が含まれている.同じく改革思想史上の基本文献として,ルターが全生涯をかけてなしとげたドイツ語訳聖書の序言三種を収めた.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koning
41
ということで、徳善本の前にこっちが届いたので読む。言わずと知れたプロテスタント的福音主義宣言とでもいうべき書。付録にルター訳の解説的に付された序言を新約、ローマ書、詩篇の3編を収めたもの。私なんかが読むとパウロ的な義をガンガン推してくる感がするし、福音書はヨハネ推し、ローマとペテロ1の3つが至高って言い切っちゃうとこがまた凄い。マルコ推しの私としてはうーん(いや、誰も聞いちゃいないよ)。「義しい(ただしい)」って訳語はどうにかならんかったのかなー?とは思うんだけど、まぁ古いですし仕方ないでしょう。2016/04/17
非日常口
32
プロテスタントが歪んだと考えた当時のカトリックの教説から「信仰のみ」へと移行し、1618年から新旧の宗教戦争に繋がっていく。近代の萌芽はウェストファリア条約からとされるが、ナポレオンという外圧が各国ナショナリズムを高めるに至る。その発端となった宗教改革(信仰分裂)から今年は500周年であり、本書を手に取る。ヒトラーも尊敬していたらしいルターを知ることは全体主義やナショナリズムの匂いが強くなる今見直すことが必要だろう。現アメリカは様々なところに口を出し始め、世界が大きく動き出している。2017/02/09
マウリツィウス
25
【再考】プロテスタントにおける簡潔にして最大の古典であるこのキリスト者の自由が何故ドイツ語聖書と共にキリスト教を変革し、また今尚不朽の信仰基準を保ち続けるのか。それは旧教と定義する体制の脆弱を看破するだけではなく悪夢としてのカトリック権威の異形根源を断つ力にある。古典とカウントされる真理は原典を繙くと明らかだ。彼の反駁論にはキリスト信仰を否む悪魔ザータンを論理文法から消去し異教への介入を許した最高権威と異なりプロテスタントは最善の信仰像を明示する。福音派の始点は古代ユダヤ教の残骸をヨブ記より追放した。2013/05/11
マウリツィウス
22
プロテスタント神学者によるルター解釈とはバルト以降刷新される系譜にあるも、新約聖書をドイツ語訳化した功績は大きい。そして古代ユダヤ教の旧約聖書律法像を事実上更新させていく意味論を帯びる。古典期による《使徒信条》とは古代教会時代に否定されるべきものではなく意義価値を認められるべきで古典語訳聖書を引用参照した出典性において『キリスト者の自由』は文学価値を承認される。思想書分類との明確相違点を再解釈したドイツ語聖書は文明史との対置論化をも示しており、旧来/旧約遺産を否定するには新約像を打崩すことにもなる対抗線。2013/07/15
マウリツィウス
22
【キリスト教教義の真実と結論】LUTHER=ルーテルのドイツ語新約聖書の快挙記録がこの『自由(FREIHEIT)』で独語由来の語彙編纂は古典集成記録=旧約資料前景化により「書物作品」定義を即座に否認する結論統制をここに掲げる。新約聖書の前提否定を実体化させた『キリスト者』が神学前提を根底的に律法化旧約から除外した。プロテスタント古典とは事実上この集約文に由来するが基盤となる集大成と総決算はこの「告白記録」と「信仰問答」二書に要約。最上位の権利とは神=主に帰すべきと掲げられた至論がこの名案と鋭利な言及書誌。2013/05/27