出版社内容情報
本書は人類の偉大なる指導者アウグスティヌスの全貌を,その著作の抜萃によって示そうとするものである.ここに見られる現実に対する鋭感,真理認識の熱情,隣人に対する愛,協同生活形成の気力などは,永遠に人類を動かす力を有している.1600年前に生活し,感覚し,思索した彼は,さながら現代人のように,われわれに語り教える.
感想・レビュー
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きゃんたか
22
ボブ・ディランは聖オーガスティンの夢を見た、自らの手でかの聖人を死へと追いやる慄きと涙の内に。売り払われた魂を西へ東へ探し求める聖人像は古今の別なく見られる。一方では人々の憧れでもあり続けた対象は、ともすれば独り歩きするイメージ故に無関心に曝されてきたこともまた事実だ。しかし思う、かくまで深く人の罪に塗れながら、神の喜びに身を捧げ得た聖人もいなかったのではないか。真理に対する明白な確証がありながら、この世の夢に執着せざるを得ない夢遊病者の悲しみ。生き地獄を舐め尽くしたからこそ辿り着いた不可逆な恵みの境地。2017/10/23