出版社内容情報
ローマ時代末期最大の神学者・思想家(三五四‐四三〇)の魂の遍歴.若い日の放縦な生活ののち,回心を経験してキリスト者となった経過を語り,罪深い生活から真の道へと導いてくれた神の恩寵を心から讃える.この世のむなしさを充たし,心にやすらぎをもたらす唯一の方法は何か.本書はその問いかけへのアウグスティヌスの答えでもある.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
48
神の導きを得て、真摯に神を追求していく姿が描かれています。真理を追求するのと同時に、精神の到達点が語られているようでした。聖書からの語りも多く、興味深かったです。2022/06/16
逆丸カツハ
32
時間は前後の区別を有する。前後の区別には「しきい」つまり「限界」が伴う。翻って神は「限界」を持たない。限界を持つものは完全ではないからである。神と「時間」との関係、神と「かたち(何かを区切り限界づけるもの)」との関係を考えるとき、神学は必ずこの緊張に突き当たるのだと思う。2024/04/07
ホームズ
21
過去の自分についての告白だった上巻に比べて聖書の内容についての話になった下巻はちょっと難しい。とりあえず天地創造と時間、神の存在についての話はそれなりに面白かったかな(笑)しかし全てが『神』を中心に考えているような世界では色んな進歩とかがかなり制約された物になったんだろうな〜。2013/06/20
マウリツィウス
20
【「神学」絶対権威と「最上位反駁」】アウグスティヌスが可能とした異端死滅法方法論の古典化にして典型化がヨハネ福音書に起源があるのは事実、それをイエス自身と投影させることで可能としたプロセスが『告白』だ。従来異教概念を完全吸収することでバルト同様文明史を根絶した「神学」、この至上反駁論展開とは随時研究追求に値し事実、後世異端文書派生はイエス・キリスト復活記述=ヨハネ/パウロの合一啓示により屈服させられる。贖罪と潔白、この二条件を満たした第四番目の福音書を教父が選択した神学究極論はギリシャ文明時代と調和した。2013/06/24
マウリツィウス
19
【CONTRA/PAGANOS】《異教=古代ギリシャ》を超過したこの『告白』『神の国』はダンテによる虚構化スコラ記号論をカバラ象徴と予期断定、異端とは異教に住まう、ヨハネ福音書の奥義を導き出した教父は哀しき必然を理解するイエスの面影をヨハネとグノーシス対峙から見出す。「神学」とは文明論を統治下することで更新、ヒエロニムス翻訳を参照利用することで古代ローマ古典を基盤に変える。ウルガータとはウェルギリウス達を葬るローマ権、そして共鳴性を理解した教父は羅語《DEUS》を意味改変、主権を告げるクオ・ヴァディスへ。2013/06/06