出版社内容情報
ローマ時代末期最大の神学者・思想家(三五四‐四三〇)の魂の遍歴.若い日の放縦な生活ののち,回心を経験してキリスト者となった経過を語り,罪深い生活から真の道へと導いてくれた神の恩寵を心から讃える.この世のむなしさを充たし,心にやすらぎをもたらす唯一の方法は何か.本書はその問いかけへのアウグスティヌスの答えでもある.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
49
告白という形で、マニ教からキリスト教へと回心した流れを語っています。ローマ時代の末期と時代は違えど、神に導かれるときは導かれるのですね。2022/06/16
逆丸カツハ
39
昔も今も、自分は宗教というものについて、何もわかっていないということがわかった読書だった。自分が書いた論考で宗教について書いたことが全く正しいことを含んでいないということは思わないが、それを一歩でも踏み越えると何もわからなくなる。宗教も人間も自分は何も理解していない。きっと何もわからないまま生きていくのだろう。わからないことが増える読書は素晴らしい。2024/04/05
ホームズ
24
古代ローマの重要な神学者アウグスティヌスがキリスト教徒として目覚めるまで。これだけ重要な人物でも30代になる前は異教徒で肉欲に溺れる人生だったんですね〜。それでもやはり哲学からマニ教に疑問を持ち改宗するあたりは頭の良い人なんですね〜。楽しみや笑いなどを否定する原始のキリスト教には違和感を覚えますね。宗教とは難しいな〜。2013/06/15
マウリツィウス
21
【『ヨハネ福音書』と約束】教父アウグスティヌスによる『告白/Confessio』、新約聖書前提を諸整理-マニ教との異端対峙を余儀なくされた教父のヴィジョンを継承に含めた見解を展開する。したがって『新約聖書』定義をマルキオン派から継承したのではなく教父の意図を汲み取れば事実意味での『告白』定義を呈せるだろう。『新約聖書』のウルガタ聖書性は否定されるのではなく吸収範囲に留めた『告白』、新約聖書論を再編成すれば『ヨハネ福音書』の講解記録を吸収引用した『ヨハネ黙示録』を参照痕跡に含められる。/マルキオン定義を消滅2013/10/16
こうすけ
19
西暦380年頃に書かれた自伝というのが驚き。神を巡る論考は難しいが、自伝的な部分は面白かった。ずっと女遊びに耽って神から目を背けてきた末に(10歳の女の子と婚約しつつ別の女性を妊娠させたりしてる)、隣家の子どもの歌声をきっかけについに回心する瞬間はとてもドラマチック。亡くなるまで息子の回心を願い続けた母について、最後の最後に祈りを捧げるところなどわりとグッと来る。祈りの内容は小難しいけれど。テレンス・マリックに映画化してほしい。2020/09/06