出版社内容情報
言語の本質を人間の心の働きと見なす内在主義と近代科学的アプローチを根本的に結びつけた「生成文法の企て」の全体像を明快に提示。
内容説明
人間の心のメカニズムとして言語を捉える内在主義と近代科学的アプローチを根本的に結びつけた「生成文法の企て」の全体像を初めて明快に提示した古典。話者が持つ潜在的言語能力・言語知識の厳密な記述に加えて、言語獲得に関わる事実の説明を可能にする一般言語理論(普遍文法)の構築を目指す研究プログラムが論じられる。
目次
1 言語能力の理論としての生成文法
2 言語運用の理論をめざして
3 生成文法の構成
4 文法の正当化
5 形式的普遍性と実質的普遍性
6 記述理論および説明理論についての補説
7 評価手続について
8 言語理論と言語学習
9 生成力とその言語学的意義
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
49
ディドロは仏語は科学の分野に適する。対して、ギリシャ語・ラテン語・イタリア語・英語は文学に適するとした(43頁)。生成文法:明示的で明確に定義された方法をもって文に構造記述を付与する規則のシステム(45頁)。無限に多くの構造を生成するために、繰り返し適用することが許されるような規則のシステム(59頁)。三主要部門、統辞、音韻、意味部門に分ける(同頁)。表面上の類似が、根底にある根本的な違いを覆い隠すことがある。2024/10/26
猫丸
11
標記論文の第一章のみを訳したもの。チョムスキーがこんなに頭がいいとは思わなかった。アプローチの角度が非常に数学的であるのも意外。言語習得装置(つまり子供)は、文法規範を外部データから帰納的に受け取るだけではない。不完全な入力をもとに新規の文を無限に生成するためには、なんらかの生得的なオペレーティングシステムの存在が想定される。チョムスキーの思考は、個別言語の文法をなるべく普遍的規則に還元することを目指す。これは選ばれた少数の公理をもとに諸分野に共通する性質を形式化する、数学における思考態度と同じものだ。2021/10/05
月をみるもの
8
「はじめに言葉があった」のではなく、進化の過程で生成文法が実装されたのだとしたら、そのプロセスを知りたい。 https://ja.wikipedia.org/wiki/FOXP22017/06/16
evifrei
7
なぜ子供が言語を理解する事ができるのか。これが生成文法の出発点となる一つの問題点になる。以下かなり大雑把な理解だけれど、①Aの犬の…→①´Aの白い犬の…→①´´弟のAの白い犬の…→ のように核文に埋め込む形で要素を挿入する事で文を無限に増やせるため、言語の潜在的知性は無限だと解することもできる。しかし、そう解すると人間的能力を超えた言語が生み出されてしまう。この問題を解決する仮説として、人間はコアとなる文の判断可能性となる一定の変換規則(文法)を先天的に有しているのではないか。行動主義のアンチテーゼだ。2019/09/24
たか
7
難しい…2017/05/26