岩波文庫
ハリネズミと狐 - 『戦争と平和』の歴史哲学

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  • サイズ 文庫判/ページ数 159p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003368411
  • NDC分類 980.28
  • Cコード C0110

出版社内容情報

古い詩句に「狐はたくさんのことを知っているが,ハリネズミはでかいことを1つだけ知っている」という1行がある.この句の真意はともかく,芸術家や思想家をこの2つのタイプに大別してみると興味ぶかい.さて,ロシアの文豪トルストイは,というと….『戦争と平和』を素材にトルストイの歴史観を探り,天才の思想的源流に迫る.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

85
先日読んだ「大戦略論」にこの著作が引用されていたので読んでみました。古い詩句に「狐はたくさんのことを知っているが、ハリネズミはでかいことを一つだけ知っている」ということで、これで偉人を分類したらどうだろう、ということでトルストイの歴史哲学にこの詩句を活用することにしたのがこの著作です。トルストイはハリネズミであろうとして、「戦争と平和」は歴史が従う法則を解き明かそうとした作品とのことだそうです。2022/09/16

翔亀

48
著者は自由論で著名な政治思想史家。なぜトルストイ論を書いているのか不思議だったが、「戦争と平和」で歴史哲学が論文のように展開されていたので、合点した。しかし、本書は政治哲学以上のものがある。トルストイの「文学」の秘密を解き明かしているのである。「戦争と平和」の文学としては異質な歴史哲学部分。それがあったからこそ、「アウステルリッツの空」や「アンドレイの死」の意味がわかってくる。本書を読んでトルストイの偉大と苦悩さ知った。もしかしたら私がこれまで追及して掴めなかったものが、トルストイにあるのかもしれない。 2016/02/14

かふ

22
BBCドラマ『戦争と平和』を見たり、ラジオ講座「戦争と災厄の文学を読む」を聞いたりして、原作はまだ読んでないのだがトルストイ『戦争と平和』に非常に興味を覚えた。それはトルストイの戦争観だろうか?バーリンが言うのはトルストイは「ナポレオン戦争」を大局的に多様性を持って見ていたということだが、保守的(キリスト教的)なメーストルと似た戦争観を持ちながら、教皇や指導者の視点にたつのではなく農民の生活の中に希望を見出す。以下、https://note.com/aoyadokari/n/n8b490cd81a7e2022/08/20

紙狸

18
1997年刊行。トルストイの『戦争と平和』は十何年か前に通読した。対ナポレオン戦争の生き生きとした描写(特にロシアの将軍クトゥーゾフについて)と、歴史哲学の難解さの対比が記憶に残った。アイザイア・バーリンのこの著はその対比に真っ正面から取り組んでいるので、出会えて嬉しかった。この著も難解ではあるが、大切なことを教えてくれるきらめくような文がある。クトゥーゾフの偉大さは、演繹したり帰納したりする能力にあるのではない。彼は「世界の進み方」を見ている。メーストルという伊仏系の保守思想家がひんぱんに引用される。2023/04/19

無重力蜜柑

10
バーリンは文章の面白みだけで内容と無関係に読める。特に狂人の情熱と信仰を高度に戯画化して示すこと、そいつに対する揶揄と罵倒を並べてみせることにおいては、彼には大文学者もかくやという抜きんでた才能がある。だから自分で読めば寝落ち必至のテクストも、バーリンの手にかかれば異常に面白くなってしまうという。本書もそうした類の本だろう。つまり自分は『戦争と平和』を読んだことはないし、未来永劫読むつもりもないが、バーリンの書く『戦争と平和』論はめちゃくちゃ面白いということだ。2024/05/08

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