出版社内容情報
無類の話し好き――『英雄伝』をもしのぐ厖大な随筆・論考を残した文人プルタルコス(後一―二世紀)の人となりは一口でそう言ってよい.快活で嬉々とした筆致,ふんだんに盛りこまれた故事逸話.モンテーニュやベーコンも枕頭の書として親しんだ彼のエッセイ集『モラリア』から,饒舌の弊害を説く表題作を中心に六篇を精選した.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
14
「悪口を言うように仕向けられたら、まず自分自身、その悪口の種になることからできるだけ縁を切る」(15頁)。人生訓だねぇ。なんとなく、自分の境遇に似たようなところや、田舎のダメなところは音読。だが、昔からダメな場や人間はいた。今もそうだが、それでもなんとか生きていかねばならぬ。饒舌でなくとも、訥々と真実を述べて正義を貫く。昨日、ファミマの駐車場で50円を拾って、即、カウンターの店員に届けた。「恥を感じる人は自分のあやまちを苦々しく苦痛に思うが、恥を感じない者は自分のあやまちを楽しむふしがある」(108頁)。2014/01/09
misui
11
自制心を養って正しく身を処すこと、あと金を借りるな…といういつの時代でも通用しそうな処世訓で、主張もさることながら例に引かれるエピソードの数々がいちいち楽しい(毛利元就の三本の矢と同様の話がすでにこの頃からあったんだとか)。ワイドショー的な饒舌や興味、同調圧力みたいなものには関わらず己を律するべしという主張には素直に頷いておくべきでしょう。2017/08/12
サアベドラ
9
ユーモアたっぷりのオヤジの説教みたいな話が6編。そこまで論理的にガチガチの主張ではない感じ。肩の力を抜いて、「はー」とか「へー」とか言いながら話半分に聞くのに最適な内容かな。2010/07/17
無能なガラス屋
8
「金をお持ちか。ならば借金をせぬことだ。困っているわけではないのだから。金がないか。ならば借金をせぬことだ。返せる見込みはなかろうから。」-(借金をしてはならぬこと)2020/06/12
うちこ
7
この本には、SNSの無限スクロール世界と真逆の価値観が書いてあります。 明るすぎるものには影を添え、目に優しく見やすくしろと。自分は運に恵まれただけだということにしておけといいます。 ただしそういう配慮が必要になるのは、”はなはだつきあいにくい、邪推しやすい人” に対してのことで、”普通の、心の調和のとれた人々” が相手ならそこまでしなくていいと。チューニングの基準も明確に示され、至れり尽くせりです。 そんなことが『人から憎まれずに自分を褒めること』というエッセイに書いてありました。 2024/03/14
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