出版社内容情報
カントの世界観とゲーテの世界観とを近代世界観のふたつの偉大なる型として,その点からふたりを比較し評論したもの.すなわち,理論的問題としては主観と客観,精神と自然との二元的対立を,実践的問題としては我と社会との対立を,彼らがそれぞれいかに解決したかを,興味深く対比している.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
8
「カント説に於ける…「理論理性に対する実践理性の優位」に於いて、ゲエテはカントと全く心を同じくする。」しかし、「カントにとって道徳的価値は、総ての他の存在やその意義とは本質的に異った世界にあり、かれからこれへはただ根本的転向と内部革命とによってのみ到達せられるのに、ゲエテの見方からすれば、道徳的価値は爾餘の生活内容と、統一的な・絶えず上昇する・系列に結びついており、そして道徳的価値の・彼にとってもまた疑うことのできぬ優位は、他の生活内容に対して、「等しきもののうちの首位」の地位を占めるものである。」2020/12/18