出版社内容情報
レッシングからゲーテを経てノヴァーリス,ヘルデルリーンにいたる輝かしいドイツ精神史の流れは,ディルタイ自身の哲学を生んだ精神的な揺籃であり故郷にほかならなかった.人間の体験から出発して歴史理性批判の遂行に立ち向かったディルタイ哲学の方法的核心は,この偉大な精神の伝統に即して内面的に解明される.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
9
ディルタイの近代文芸論。邦訳されて日本でも広く読まれた。歴史哲学者としてよりもこの文学論でディルタイの名は知られたらしい。西田幾多郎の思索にも影響を与えたと思われる箇所がある。体験(経験・実験)というのは生の体験なんであるが、この生というのがよくわからない。情理、心身、物質と精神、理論と実践といった分析を経る前の経験を統合する原理らしい。この経験を表象を通じてそのまま表出したのが詩劇。科学革命を起こした啓蒙思想をさらに広げて近代文芸の理論を提出したのがレッシング。ゲーテが自らの人生を通じてこれを実践した。2020/11/18