出版社内容情報
「学問は、単なる手段と成り下がってしまえば…直ちに学問であることをやめてしまう。」若くして大学の教壇に立った哲学者シェリング(1775-1854)は、大学や学問研究の理念を熱く語った。国家の関与からの自由を掲げ、哲学を基盤とし諸学が有機的に関連する「普遍的なエンチュクロペディー」を構想する。後世に影響を与えた学問論の古典。
内容説明
「学問は、単なる手段と成り下がってしまえば…直ちに学問であることをやめてしまう」。若くして大学の教壇に立ったシェリング(1775‐1854)は、大学や学問研究の理念を熱く語った。国家の関与からの自由を掲げ、哲学を基盤とし諸学が有機的に関連する「普遍的なエンチュクロペディー」を構想する。後世に影響を与えた学問論の古典。
目次
学問の絶対的な概念について
大学の学問的および道徳的使命について
大学における研究の最初の前提について
純粋な理性学である数学と哲学一般の研究について
哲学の研究に対して通常なされる非難について
とくに哲学の研究について
哲学にとって外的ないくつかの対立、とくに事実的な学問との対立について
キリスト教の歴史的構成について
神学の研究について
歴史学ならびに法学の研究について
自然学一般について
物理学と化学の研究について
医学および有機的自然論一般の研究について
芸術学について―大学における学問研究との関わりにおいて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ろくせい@やまもとかねよし
142
学問は実存のみに焦点をあてるものではないと諭す。19世紀ドイツイェーナ大学の講義をまとめた論説。当時発表されたカントの「学部の争い」を念頭に学問の普遍性を考察する。学問の本質は哲学で、それは絶対的な根源知の追求だとする。根源知とは、有限な実存するものが、無限な観念のなかに吸収できる知だと解説。いずれの学問も手段に過ぎない。大学の教員、職員、学生は、このことを自覚し、絶え間ない自己形成をすべきだと啓蒙する。そして、この取り組みから「特殊と普遍」「現実と可能」「実存と観念」の対立を超えた絶対的同一化があると。2022/05/12
Go Extreme
4
学問の絶対的な概念 大学の学問的および道徳的使命 大学における研究の最初の前提 純粋な理性学である数学と哲学一般の研究 哲学の研究に対して通常なされる非難 とくに哲学の研究 哲学にとって外的ないくつかの対立、とくに事実的な学問との対立 キリスト教の歴史的構成 神学の研究 歴史学ならびに法学の研究 自然学一般 物理学と化学の研究 医学および有機的自然論一般の研究 芸術学について―大学における学問研究との関わりにおいて シェリング『学問論』の成立と背景2022/05/31
遊動する旧石器人
3
2022年4月15日第1刷発行。本書は1803年に刊行された原書の新訳本である。その19世紀初頭に刊行された内容が21世紀に生きる我々に深く突き刺さる。それは、役に立たないものは学ぶ必要がないという実利主義が現代日本社会に広く蔓延しているからである。先日も三角関数不要論が政治家から出るなどしているが、そうした現在時にこの新訳本が刊行された意義は非常に大きい。全入時代の大学生、いや高校生にも読んで欲しい1冊である。大卒という称号を得るためだけの通過点に成り下がっている大学は、その本来的役割をよく再考すべき。2022/07/13
斉藤達也
2
カントによって完成された精密な論理学を批判し、人間の理性、またはキリスト教により現象をすべて解明すべきであること、そしてそれが可能であることを説く。このような考え方が後のヘーゲル哲学に繋がるのであろう。哲学書というよりはアジビラのような本であり、読後感は非常に悪い。2022/09/21
蘇我クラフト
1
怪文書レベルに日本語難解なのはご愛敬としても、読みにくい。結局は何が云いたいのかを簡素に纏めたがってしまう自分が悪いのだと思うしそれ自体が哲学向きの頭ではないのは確かである 学問は無駄なことなどない、大きな一つとしてすべてを学ぶべきでありそこに有用性を問う事時代が間違いであるという彼の主張は一貫して理解できて共感もできる。これに反することを大学は現代にいたるまで行っているということを再考して出直してほしいと思う。2025/04/06