出版社内容情報
一八二一年に公刊されたヘーゲルの主著の一つ。法の原理的検討からはじまり、家族、市民社会、国家の洞察へと進む。それはまさに近代の自画像を描く試みであった。上巻は、第一部・抽象法、第二部・道徳を収録。「ミネルヴァの梟は、夕暮れの訪れとともに、ようやく飛びはじめる」という名高い一文が登場する。(全二冊)
内容説明
1821年に公刊されたヘーゲルの主著の一つ。法の原理的検討からはじまり、家族、市民社会、国家の洞察へと進む。それはまさに近代の自画像を描く試みであった。上巻は、「第一部・抽象法」「第二部・道徳」を収録。「ミネルヴァの梟は、夕暮れの訪れとともに、ようやく飛びはじめる」という名高い一文が登場する。
目次
第1部 抽象法(所有;契約;不法)
第2部 道徳(故意と責任;意図と利福;善と良心)
1 ~ 1件/全1件
- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
逆丸カツハ
4
難解ではあったが、ただただ現在の社会からすればごく「当然」のことを述べているように思える。現実的であるように見えて、それは現代の社会の社会的な本質を捉えていたからそう見えるのであって、他のあらゆる文化や社会に敷衍できるかといえば決してそうではない。現在の基礎を捉えた本としてかなり秀逸なのではないかと思う。我々はたしかにヘーゲルの世界に住んでいるのかもしれない。ただし、テーゼとアンチテーゼからジンテーゼが生まれなくなってしまったその世界に。2023/09/20
かるてぶらんしぇ
3
第一部「抽象法」は所有とはどういうものか不法はなぜ発生するかを説明している。第一部を読んでいると「法律って哲学をベースに作られてるんだな〜」と再確認する。権利には時効が存在しないのに、所有には時効が存在するのは何故か?というよくよく考えてみると深い問題にも答えを与えてくれる。第二部は抽象度が少し上がり難易度も上がる。「悪人は自分が悪人であることを知っているか」パスカルは冷酷無情な罪人は悪魔に帰依することで悪魔を欺いていると表現する。自由意志の問題は深い。ちくま文庫の「責任という虚構」を再読したくなった。2022/01/15
鏡裕之
3
ナポレオンか流されて数年後に出版。タイトルに「法」とあるが、「純然たる法学的著作ではない」と解説でも断られている。第1部では所有や契約や不法について記されているが、第2部は道徳、下巻の第3部では国家が扱われている。『精神現象学』のせいでヘーゲルに対してはとても印象が悪かったが――ヘーゲル君はお金のために水増しして書いちゃったんだよ――ー本書は面白く読めた。ただ、難解なので通読する前に解説を最初に読んだ方がいい。この解説がめっちゃ秀逸。その上で、注をちょこちょこ参照しながら読むと、とてもわかりやすい。2021/04/29
20
1
序言、緒論と続き、難解というか何を言っているのかサッパリ分かりませんでした。というのも、独自の言葉が使われた極めて抽象的な文が続いているので、まず解釈で苦労するんですね。我慢強く読み返し続ければ読める部分もあったかもしれませんが、そこまで優先順位も高くないので適当な読書になりました。解説が非常に分かりやすいため(解説というよりヘーゲル語の翻訳になっています)解説だけ読んでみる、というのも良いですね2021/05/29