出版社内容情報
1807‐08年の冬にベルリン学士院で行なった連続講演.前年のナポレオン戦敗北に直面して,熱烈な祖国愛に燃えたフィヒテが,ドイツ国民に呼びかけて道徳的向上を促したもの.彼は国民の独立のためには国民全体の道徳的革新が不可欠と考え,その手段を青少年の教育に求めて公教育の徹底を主張した.解説=佐藤通次
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイキ
4
大学図書館。「第八講 真の国民とは何ぞや、祖国愛とは何ぞや」以外はあまり関心は持たなかった。フィヒテの思想は、現代では冗談にすらならないのかもしれないが、その精神は、現代、特に、わが国に於ては見直されるべきである。戦前のわが国を並べて欧米思想で染色された色眼鏡で以て所謂「国粋主義」とみなし、その色眼鏡を通して眺めたものをすべて欧米思想で以て解剖せねば気がすまない者にも参考になるであろう、お勧めの一冊である。2015/07/10
中将(予備役)
0
抄訳に満足できず古書を読んだ。正字正かなづかいで古風な文体。私は平気なつもりだが読むのに時間がかかったし、売れなくて絶版になるのも納得した。古風な訳も嫌いではないが最終講の呼びかけは鵜飼訳の方が熱くて好きである。フィヒテの教育論には無茶な面も多々あるが、詰め込みでも単なるゆとりでもない、感性を育てる教育ができれば望ましいと思う。民の弱さをいかに克服するかというテーマは今にもつながる。ルソーばかりでなくこちらの方面も教育者には読んでもらいたいものだ。2013/05/03
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