内容説明
「モナドには窓がない」という言葉で知られる単純な実体モナド。その定義に始まり、モナドの行う表象、その織りなす予定調和、神の存在と最善な可能世界の創造、物体の有機的構造、神と精神の関係まで、広範な領域を扱うライプニッツの代表作。「理性に基づく自然と恩寵の原理」ほか、関連する論文と書簡などを併収。新訳。
目次
モナドロジー
理性に基づく自然と恩寵の原理
実体の本性と実体間の交渉ならびに魂と身体のあいだにある結合についての新説
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かわうそ
43
この本を読んで人間の持つ理性とモンテーニュがあるとした動物の理性との差がわかった気がします。動物の理性(ひとまずあると仮定して)に無くて人間の理性にあるのは『必然的かつ永遠的な真理を認識する』P31ということ。動物はこの出来事が起きると次に何が来るということは個別的に予測できますが、抽象的なことは全く理解し得ないのですからある出来事の条件を少し変えるだけで未来が予測できなくなる可能性がある。しかし、人間はアナロジカルに考え(草食動物が蛇に似たものを見て逃げるように少しはアナロジカルに考えることができる)2022/11/29
内島菫
25
ライプニッツは依然心身二元論的に魂と身体をとらえているものの、魂と身体が完全に切り離されてあることはないとする。そしてスピノザと同様、魂が松果腺を介して身体を動かすというデカルトの説を批判している。そして心身の結び付きを、神がはじめに設定した予定調和に委ねる。つまり人智の及ばないこととするものの、ライプニッツは神は自由意思を行使した結果、最善のものを選んだとし、その最善は人間にとっても最善であるとする。ライプニッツで面白いのはやはりモナドをめぐる発想だ。2021/02/17
きくらげ
16
単純で部分を持たない実体で、その「一つ」が「多」を含んでいるところのモナド。個の中に世界全体が映し出されるような在り方を著者は表象と呼ぶが、素朴な科学的世界観に浸されて無自覚な我々には想像しづらい。樹木の年輪や、鏡面のような鉄球群や、無限マトリョーシカ的な発想で捉えられた生殖をイメージしながら読んだ。このモナド的存在論に頷ければ、各モナドは全てを襞に含みもちながら各々変化するのだから、モナドに窓がないと言われる所以も分かるし、全てにおける動因である神が予定調和を齎したという説にも首肯できる2019/07/09
Francis
12
「大陸合理主義」の代表的論者の著作。読んでみると意外とキリスト教的な考えからそれてもないのかな、と言う気がする。動物の「魂」について、スピノザ、デカルトよりも考察が深まっていて、分かりやすく感じた。ただやはり「魂」など人間には合理的には理解しがたいものがまだ沢山あるのだなとも感じた。人間の存在そのものには限界があるのだから、合理主義的に理解し得ないものはまだ沢山ある事を素直に理解した方がいいのではないだろうか。2022/12/04
またの名
10
画面越しに見える外界の映像がモナドという部屋の中から確認できる外部のすべてと説く本書によれば、興奮して刺激的な言葉を恋人同士が囁く時ですら、実際は閉じた部屋で画面越しの相手にチャットしてるだけ。ただし全モナドの画面と構成は完全に外界つまり他の全モナドと同調してるため、出入り口のない密室だけど宇宙全体を正確に表現する「鏡」として機能。宇宙を構成する各部分の中に小宇宙が含まれその中に無数の各部分が充満しさらにその中に小宇宙が…と無限に襞が折り畳まれ、永遠不滅のモナドは身体が滅んでも作り直せれば蘇生すると主張。2020/03/25
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