出版社内容情報
当代随一と仰がれるソフィストの長老プロタゴラスがアテナイにやって来た.興奮する青年にうながされて対面したソクラテスは,大物ソフィストや若い知識人らが見守るなか,徳ははたして人に教えられるものか否か,彼と議論を戦わせる.古来文学作品としても定評あるプラトンの対話篇の中でも,とりわけ劇的描写力に傑れた一篇.
内容説明
当代随一と仰がれるソフィストの長老プロタゴラスがアテナイにやって来た。興奮する青年にうながされて対面したソクラテスは、大物ソフィストや若い知識人らが見守るなか、徳ははたして人に教えられるものか否か、彼と議論を戦わせる。古来文学作品としても定評あるプラトンの対話篇の中でも、とりわけ劇的描写力に傑れた一篇。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
163
ソクラテスの有名な対話篇の一つ。当時の『知の巨人』に弁論で立ち向かうソクラテスの一遍。善悪は教育可能なものであるか否か。快は善、不快は悪はソクラテスの普遍的テーマのようだが本作は特に深く掘り下げられた気がする。現代の哲学から見るとツッコミどころはあれど、哲学の基本中の基本を指摘している。そういえば、小学生の娘が『道徳の時間て嫌い。勉強しなくても分ることばかり教えるし、たとえ勉強しても人間て、教わった通りにしないと思うの。』と言っていたが。そうなのかどうなのか。このテーマに切り込む。2022/11/20
のっち♬
116
「徳は教えられるか」についての議論。「魂の糧食」を商品化するソフィスト批判の基盤として、冒頭の"物語"には彼らが思想的潮流を担う背景が浮き上がる。プロタゴラスに丁重な礼儀を払っているため議論の進め方一つとっても派手な脱線をしたりと洗練とはかけ離れた対話篇で、ソクラテスの気ままな長広舌に著者の遊び心や粘着質がよく現れている。「快楽と善とは同じ」という命題は〈知〉へのソクラテスの真摯な価値観の象徴で、結びもそれだけパラドックスを強調したもの。両者の相違を生き生きと描き出すことで、著者の哲学の土台を固めた一冊。2022/04/24
かわうそ
50
節制や勇気、知識、正義は徳という一つのものの別名であることが示される。つまりは勇気があって知識がないという子もあり得ないし、節制があって正義があるということもあり得ないことになる。正義も勇気も節制も知識も等しいものであると。 また、善い悪いも快楽や苦痛で計るとができるという功利主義的な思想が見え隠れしている点も面白い。小さな苦痛が大きな苦痛を防ぐために必要であれば小さな苦痛は善いものなのである。2000年以上前にこのような地点まで思想が極まっていたことに驚きを隠せない。2024/04/15
イプシロン
36
(再読)初読時(6年前)の自分の感想を読んで、少し凹んだが、それは成長の証と思うことに気持ちを切り替えた(笑) さて、本著もまた素晴らしかった。なにが一番かというと、「議論は発言者が自分自身のことばで話すこと」を教えている箇所である。権威ある人の発言に寄りかかったり、論理的に語れないからといって、物語りや比喩に逃げたりしないで、拙くとも自分自身の言葉で、自分の頭をフル回転させて、論理的に語りあうこと。こうした態度からのみ、議論している者の間に建設的な何かが生まれるのだから、と。また、議論における弁論は、2022/12/17
ホームズ
30
プラトンは初挑戦(笑)ソクラテスはちょっと性格の悪いおっさんというイメージですね(笑)下手に出ながら結局相手を打ち負かしてる感じが(笑)色々と興味深い感じではありましたが何回も読んでみないとちゃんと理解はできないのかな(笑)ペロポンネソス戦争で色んな意味で活躍したアルキビアデスが登場してるのはちょっと嬉しかった(笑)2013/06/12